4章132話 幻惑を乗り越えて
盾をすり抜けた!?なんだこの炎!
俺はマナスを引っ張って避ける。怜は千奈ちゃんを引っ張って反対側に倒れていた。
「私の盾をすり抜けた・・・?どういう能力ですか。わかりますか?みなさん。」
正直全くわからない。明らかに盾をすり抜けてきた炎の着弾付近を振り返ると全く燃えてすらいなかった。
「実体のない炎・・・隠す特性。ダメだ、情報がなさすぎる。」
「くふふ、わかったところで意味はないで?【黒狐】【変化・雪女】」
呪術師は黒い狐を生み出して真っ白な服を着た髪も肌も雪のような女に変化させた。
「みんな防ぐことより躱すことを意識して!どうも狐にばかされてそうだ。」
白い女は両手を突き出して真っ白な攻撃をしてくる。喰らったらまずい。そう感じて左に避ける。
案の定、マナスの黒い盾を貫通してその攻撃は飛んできた。マナスと一緒に走りながら躱しているけど急に攻撃が止んだ。
「千奈ちゃん!怜!」
白い女は怜と千奈ちゃんに狙いを定めたようで両側から挟み込むように2人を追い詰めていた。マナスは盾を生み出して防ごうとするが、魔力をほぼ使い果たしているから不発に終わっていた。
「怜!上に逃げて!」
俺は怜に防がずに逃げるように言った。あの攻撃がなんであれ防ぐことができないのはさっきの紫の炎と同じだからだ。
俺の考えを読み取ったのか怜は千奈ちゃんを抱えて迫り来る白い攻撃を飛び越えてかわして俺の元まできた。だけど、様子がおかしい。
「あ、脚が凍ったみたい・・・。こっちの防御はすり抜けるのにあっちだけ当たるなんて反則にも程がある。絶対に何かカラクリがある。」
俺は怜の凍った足を簒奪刀で直しながら考える。まず、こっちの防御はすり抜ける。でもあっちの攻撃は当たるから幻ってわけでもない。それと気がついたのは俺たち以外の地面とかはなんの影響もないこと。マナスの盾や地面は全く凍ってなかった。
「そもそも、一つの能力であそこまで多彩な属性を使えるのはおかしくない?まるで魔法使いみたいだ。でもそうするとあの狐がわからない。みんなは何か気がついたことある?」
「あの狐が変化したあの女、多分雪女よ。氷雪地帯のダンジョンにいる魔物だったはず。」
「でも、狐が変化したんだから能力だよね。」
化紺先輩の能力ってなんなんだろう。俺と怜が思考の渦に飲み込まれていると呪術師を警戒してくれていた2人が危険を伝える。
「「雪さん、怜姉避けてっ。」」
俺はまだ怜の足の氷を溶かしている途中だった。まだ怜は動けない。少し痛いけど、ゴメンッ。
俺は怜を簒奪刀のみねで突き飛ばす。そのあと自分も避ける。だが少し逃げるのが遅れた。正面から閃光が向かってきていた。
「あぐっ!じょ、冗談だろ?」
俺の目には雷神と風神の屏風絵に描かれている2人にそっくりなものがいた。
「雪「「雪さん!」」
怜たちが俺の元まで戻ってくる。絶体絶命だ。俺は右足を雷に貫かれて負傷してしまったし、怜はまだ足が少し凍っている。マナスだって魔力切れだ。
「雪さん、これ飲んでください。元々万が一のためと持っていたポーションです。」
千奈ちゃんから渡されたポーションを飲むと傷だけじゃなく魔力も回復した。普通のポーションじゃないな。
「このポーションは魔力や傷を治す効果がありますがしばらく他のポーションの効果を受け付けなくなります!正真正銘、最後の手段です。」
俺は回復した魔力で血の壁を呪術師と俺たちの間に区切るように生み出す。
「ありがとう、お陰で戦える。一つ考えついた事があるんだけど。
「別の力?」
「お風呂場で化紺先輩が尻尾を消してた時、見えなくしてるんだと思ったけど、それだと尻尾の分お湯が押しのけられて見えちゃうでしょ?だから尻尾そのものを消してたんじゃないかな。多分当たる瞬間だけ攻撃を消してたんだ。」
「でも、それがわかってもどうしようもない。どうやって奴を倒すの?」
「こういうのはどうかなーーーーーー」
血の壁がまるで鋭利な刃物で切ったかのように崩れ去る。
「やっと切れた。まさか風神の風でも破れないなんてなぁ。で?作戦会議は終わったんか?」
「もちろん、お前を倒して化紺先輩を返してもらう!」
千奈ちゃんと怜が呪術師に向かって飛び出す。
「そんなの的になるだけや!【狐火】【風神】」
紫色の炎と風が2人に迫る。でも
◆
「奴は化紺先輩の能力しか使ってない。多分化紺先輩の能力しか使えないんだと思う。それに技を放ってくるのはあの変化した狐だ。だから一度私が防ぐ。だからその隙に怜は狐を、千奈ちゃんは奴を倒してほしい。」
◆
「【吸血】!」
2人に迫る炎と風が2人の前で霧散する。
俺は目に見えないくらい小さくした血を空中に飛ばしていた。奴が視認して消しているなら見えなくすれば消すタイミングが分からないはず!
「はぁ!?」
想定通り奴は攻撃が無効化されるとは思わなかったようで動けずにいる。
「【一槍凍界】!!」
「【呪剣・
2人は同時に狐と呪術師を倒した。
後書き
新しく小説を書き始めました!
日光浴がしたい私はダンジョンにもぐることにした。~吸血鬼になっちゃって全く日光浴ができません!?
↓
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