4章134話 救出

雪鬼せっきの体から冷気が発生していた。触れば俺も凍りつきそうだ。


「【凍血刀】」


俺は千奈ちゃんに回復してもらった魔力を全て凍血刀に込める。それにしても本来の使い方って何だ。いや、後で聞こう。今はアイツだ!


俺たちは真っ直ぐ呪術師まで走る。がやはり死神が道を塞いでくる。


「頼んだ!」


「おう、鎌なんて洒落くせぇ!凍りつけぇ!!」


鎌を殴った!?


雪鬼せっきが鎌を殴った瞬間まるで氷みたいに割れて粉々になった。それは死神にまで及んで身体を凍らせる。

それをみた死神は雪鬼せっきに2体同時で突っ込んでくる。加勢するか!?


「雪!気にせず突っ込め!こいつらは俺一人で片付ける。」


俺はその言葉で加勢するのをやめる。アイツが大丈夫と言ったのなら問題ない。嘘だけはつかないから。


「あらら、これは負けたなぁ。まぁいいか、楽しめたし。」


奴はどこかに逃げようとしていた。奴の背後に黒い渦みたいなものが出現する。アレに入られたら逃げられる!


「させるかぁぁぁぁぁぁあ!!」


俺は手に持っていた凍血刀を黒い渦に投げ入れる。咄嗟のことでどうして投げたのか俺にもわからなかった。


「ゲートが凍った!?うっそぉ!」


凍血刀を投げ入れた黒い渦は死神の鎌と同様に凍って砕けた。

属性付与だと思っていたけど違うのか?


「でも、魔力を使い切ったみたいだね!?それならもう一回出せば・・・あれ!?能力が使えない?」


奴が何か戸惑ってる?チャンスだ!俺は鬼化している魔力を全て右手に集める。いい加減報いを受ける時間だ!!


「化紺先輩を返せぇぇぇぇえええ!!」


俺の爪は奴の体を確実に切り裂いた。この世界で死んだらどうなるかわからないけど正直、死んでもいいと思う。せっかく能力があるのに人を不幸にするために使うのは許せない。


「やられちゃったー。まぁここでやられても元の体に戻るだけだしーーーーーーって嘘!?魂が壊れていく!な、なんで!?」


奴の体は氷にヒビが入るみたいに俺が切り裂いた箇所から崩れていった。


「終わった、のか?そういえば雪鬼せっきとマナスは?」


俺が二人はどうなったのか探すと死神を氷の彫像にして飾っている雪鬼せっきとそれを見ているマナスがいた。


「奴を倒したみたいだな・・・・・・教えてないのに魂滅までしてるし。」


何やら雪鬼せっきが呟いたが聞こえなかった。


「そういえば本来の使い方って何だったの?さっき言ってたよね。」


「お前に与えた力は【罪業凍結】って言うんだが相手の能力を文字通り凍結する技だ。ただ効果があるのは一人のみ。解除しないことには他のやつにはただ凍るだけの技だ。効果は永続だけどな。」


なるほど、マナスの能力封じと似た力なのか。ってその前に!化紺先輩を助けないと。

あ、魔力が無くて簒奪刀が作れない。


「マナス、お願いできる?」


「はい、おかげで魔力も回復できましたから。【強奪の魔刃】」


マナスが化紺先輩を拘束している黒い鎖を消し去ると先輩が倒れ込んできた。そういえば化紺先輩小さくなってるけど大丈夫なのか?


「なぁ雪鬼せっき魂の世界で体が小さくなるのってあり得るのか?」


何だか先輩をこのままにしておくのは良くない気がして聞いてみる。


「ここにいるお前たちもだが魂だけの状態だ。その魂が小さくなってんなら鎖の影響か知らんが良くないな。」


「おそらくだが精神的ダメージを受けて精神が弱らされてる。過去のトラウマでも見せられたか・・・?」


すると小さい先輩が目を覚ました。


「ぅう。」


「先輩、大丈夫ですか?助けに来ました。」


だけど先輩の様子はいつもと違っていて・・・ひどく怯えているようだった。


「ひぅっ私、私は……!」


いつもの飄々とした雰囲気ではなかった。一体どんなトラウマを見せられたんだ。


「化紺先輩・・・?大丈夫です。私たちは味方ですから。」


先輩は怯えながらも俺に抱き着いてきた。安心したのかまた眠ってしまったが苦しんでる様子はないな。


雪鬼せっき、化紺先輩は元に戻る?」


「鎖の影響がなくなったから元に戻る可能性はあるな。ただしばらく目覚めないだろ。今傷ついた魂を癒しているから元に戻るまで昏睡状態かもな。」


そう教えてくれた雪鬼せっきは背後に門を出して中に入っていった。


「もう俺は帰る。今度はちゃんとした方法であえることを祈ってるぜ?」


門は閉まって消えていった。それと同時に俺は浮遊感を感じながら意識を失った。




「怜姉!雪さんが起きたよ!」


目を開けると眩しくてうまく目を開けられなかった。ここは……会場じゃない?白い部屋にベッド。ここ病院か!


「雪、良かった。あの後結界を解除されて救助が来たの。それでどうなったの?呪術師は。」


「倒したよ。化紺先輩は?」


「隣の病室で寝てる。まだ目を覚まさないけど毛の色も黄金色に戻ってたから大丈夫かなって。」


そっか無事でよかった。あ、そういえば綾たちは!?昏睡させたって言ってなかったか!?


「外の観客は!?綾たちはどうなったの!」


「綾さんたちなら……。」


千奈ちゃんがしゃべり始めた矢先、病室のドアが勢いよく開いた。ここ病院だぞ。


「雪ちゃん!目を覚ましたんだね!?よかった~~~!ずっと目を覚まさなかったから心配したんだよ!!」


綾は泣きながら俺に抱き着いてきた。ん?まてずっとって言ったか?


「怜、私どのくらい寝てた?」


「1週間くらいよ。マナスは当日に帰ってきたけどすぐに眠っちゃったから話をまだ聞けてなかったの。」


まあ俺も門を開けたし、マナスだって死神の攻撃を肩代わりしてくれたからな。そりゃあ寝込むか。


「雪ちゃんずっと貧血状態で三人の中で一番危なかったんだから!輸血した先からどんどん無くなって大変だったんだよ?」


「あ~~~また門開けたからなぁ。反動かぁ。」


絶対怒ってるよ、雪鬼せっき。あいつ綾の血大好きだからなぁ、他の血じゃ満足しなかったんだろ。


「ごめん綾、後で血をもらってもいい?反動が一週間も続いてちょっとつらいかも……。」


「もちろん!何なら今からでも……!」


綾は俺に腕を差し出してくる。待ってくれ!こんな周りに、千奈ちゃんもいるのに反動状態になるのは……


「私の血嫌い……?」


俺は理性の切れる音を聞いた。


あとがき

やっと4章が終わりました!ええ、長かったですね。しばらくは戦闘とは離れる予定?なので!


新作を書き始めました!


日光浴したい私が吸血鬼!?〜レベルを上げるために私は今日もダンジョンに潜る〜


https://kakuyomu.jp/works/16817330651540224663


是非みにきてくれると嬉しいです!











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