終章 オーバードライブ/序章 ディストーション

終章 オーバードライブ/序章 ディストーション

自分で自分に驚いていた。

まさかこんなことになるなんて、思ってもみなかった。

多分、あの日から、気持ちは決まっていたんだと思う。

が私を助けてくれた、あの日から。

なにもしなくたって、見逃したって、誰も責めたりしない。

なのにあなたは、受け止めてくれた。

壊れるはずだったものを、救ってくれた。

だから知ってほしくて、話を聞いてほしくて、近くにいたいと願った。

ずっと今のままの日常が続いて、でもいつかなにかが変わるって。

そんなことを子供みたいに信じていた。

そのふたつが矛盾していることに、気づかないフリをしながら。

かけがえのないものは、いつだって失ってからはじめて気づく。

なにが悪かったのだろう。

手に入らないものを、手に入れようとしなかったことが、罪なのだろうか。

こうして永遠になくしてしまうことが、罰なのだろうか。

いつもそうだ。

ふたつのうち、どちらかが選ばれるとき。

自分は絶対に、選ばれない側になる。

その運命を変えられるとしたら。

なにを捧げたっていい。

ヘッドホンから流れる歪んだギターを聞きながら、ゆっくりと目を閉じて。

は瞼の裏にあらわれた、を追った。


To be continued to

―AOHAL DEVIL 2―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【2巻好評発売中!!】アオハルデビル 池田明季哉/電撃文庫・電撃の新文芸 @dengekibunko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ