第11話 3rd Generation Part2

「悔しい…」


「鞍端…」


「層上! 俺は悔しいぞ!

今すぐ泣き出したいくらいだ!」


「じゃあ、これで涙拭いてよ」


【蒼穹の弓獅】を手渡す充快。


「お前…これ…」


「勝負には勝ったけど、もういいんだ。

俺は【蒼穹の弓獅】無しで勝つことができた。

いつもこのカードに頼ってばかりいたから気づかなかったけど、俺はこいつが居なくても戦えるんだ。

これからは、六繋天を必要としない戦略を考えるよ」


「いいのか?」


「うん。そのことに気づかせてくれたのも、鞍端だし」


「それじゃあ、遠慮なく」


カードを受け取る風増。


「よかったな風増。充快が大人でさ」


「それじゃまるで俺が子どもみたいじゃん!」


「違うか?」


「違うよ!

よし決めた!

知介さんには俺と勝負して、俺が勝ったら【ドランチャー・サブマリンド】を渡してもらうことにする!」


「なんでそうなるんだよ!」


「勝つまでやるからな!

俺が勝つまでやるからな!」


「それがもう、子どもだろ!」


「じゃあ、俺も鞍端が勝つまで相手してもらおうかな?」


「お前まで俺のことバカにしてんのか?

くっそ~…」


結局彼らは一戦もしないまま、全ての六繋天は風増の手に渡った。


**********


<保管庫>


「それじゃあ、みんな、カードを置いて」


「今までありがとう」


「じゃあな」


6枚のカードは長い眠りについた。


**********


「あ~、俺、デッキどうしようかなぁ」


「俺も【蒼穹の弓獅】が抜けた穴を埋めなくちゃ」


「まぁ、それはこれからゆっくり考えればいいじゃん」


「鞍端はいいよ。俺達と違ってエース健在なんだから」


「あっ、そうだよ。風増だけ、ずりぃ!

人の大将とっておいて、自分だけ。

なぁ、充快」


「そうそう」


「ずるくないよ!

まだ言うかそういうこと!

それにな、俺だってそのことは悪いと思ってるから、一応考えがあるんだぞ」


「えっ、なになに?」


「今度さ、外国で五仕旗の大会があるんだよ。

プロの試合を見れば、何か得るものがあるんじゃないかと思って」


「連れてってくれんのか?」


「うん。みんなの分のホテル代やら何やら、旅費は俺が出すから。二人には六繋天を集めるのも手伝ってもらったし」


「やったー!」


「美味いもんとか食い放題なのか?」


「お土産とか、たくさんもらえるの?」


「何しに行くつもりなんだよ!」


こうして六繋天は回収された。

しかし、三人の戦いに終結の兆しは見えない。


五仕旗3rd Generation 完

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五仕旗 3rd Generation 旋架 @bridge4PMDoGS

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