【2022】月見杯 入賞作品の紹介

 どうも、適当に決めたペンネームにしたせいでエゴサすると『夕飯に月見バーガー食ってきた』的な話題しか出て来なくて辟易している月見です。お陰で公募では別名で出さざるを得ません。ガッデム。

 皆はペンネーム付けるときにその辺も考慮しような!


 表題の通り、月見杯を開催します。花札の役じゃないです。

 参加者は私一人。ええ、自作自演です。

 これは2022年のうちに書いた文章のなかで作者の月見夕が個人的に気に入っている部分や書いていて楽しかったところ、その解説をまとめたものです。

 自己満でネタバレの宝庫でもありますが、多分あとがき集なんかから読む人は本文も読まないと思うので(クソ失礼)どんどんネタバレしていこうと思います。




 それでは早速、第5位。


 なるほど、サバゲーに身を投じるのは粗野な人間だとばかり思っていたが、今まで食べたパンの枚数は数えるタイプの人達のようだ。認識を改めねば。


 ――『スコーピオンに左手を添えて』より

 https://kakuyomu.jp/works/16817330650345683234


 5位にランクインしたのはこちら。ディオ様もびっくり。

 何も知らない地味系OLがサバゲーに連れていかれ、蜂の巣にされる話です。

 行くまで知らなかったんですが、サバゲーで人を撃った数ってセルフで数えるし、撃たれた判定も自己申告なんですね。

 ので「今日俺10キルいったわww」って騒いでる彼も、その日1日ずっと物陰に身を潜めながら1キル、2キルと数えているわけです。なんて几帳面。

 こんな誠実さが求められる紳士の遊びだとは思わず(失礼)、それに対する素直な感想がランクインしました。




 続いて、第4位。


 数拍を置いて、腹の奥底でふつふつと何かが沸きあがった。不快、苦痛、理不尽、たぎる不快、不快、不快不快不快不快不快不快不快――受取人不在の、燃え盛る純粋な怒り。


 ――『ムジカ・ジャーマンスープレックス』より

 https://kakuyomu.jp/works/16817330648453165343


 こちらが4位にランクインです。我ながら良い怒りですね。

 私生活で死ぬほど苛々していて(引越業者に引越を忘れられました。南無三)、それを作品にぶつけるために書きました。

 無→激しい怒りにシフトするシーンなので、とにかくガスタンクに火を放ったような爆発的な怒りを表現しようとこんな書き方をしています。

 偽教授さんの少年杯に参加させていただいてもいて、理不尽な怒りの伝播を表現しようと徹頭徹尾キレ散らかして暴れています。

「やはり暴力。暴力はすべてを解決する。」と講評もいただき良かったです。




 サクッと第3位。


「志木よ……『多分これだろ』で仕事を進めるな。いつも常識を疑え。――ここはホームセンターだ」


 ――『俺のホームセンターは今日も異世界転生しません!』より

 https://kakuyomu.jp/works/16817139558458896852


 見事3位にランクインです。おめでとうございます(清々しい自己礼賛)。

 ホームセンターに入社した主人公が、その特殊な環境に四苦八苦しながら明日から異世界に転生しても生きていけそうなライフハックを学ぶ作品です。

 作品の世界観を象徴する、先輩社員からの言葉がランクインしました。

 マジでホームセンターを何だと思ってるんだ。

「いつ異世界編が始まるんですか?」と何度かコメントいただいているのですが、一生異世界には行きません。ごめんなさい。




 さてさて第2位に選ばれたのは……?


「……ねえ、いつも思うんだけど、ラムネ食べないと出来ないの?」

「分かってねえな……この甘酸っぱさと切なさと、花火の音と光が織りなす世界観に浸る感じが良いんじゃねえか」

 俺はもう一粒口に放り込んだ。リリイは大きな溜息を吐いて、

「ラムネ中毒者ジャンキーめ」

 そう呟いた。何だよ、案外楽しそうじゃねえか。


 ――『ジャンキー・ジェット・ファイアワークス』より

 https://kakuyomu.jp/works/16817139559070584749


 はい。惜しくも1位は逃しましたが、堂々たる2位です。

 娯楽が消えた世界でラムネ菓子を食べながら夜の街をパルクールで駆け抜け、ゲリラ花火を上げる大学生の話です。自他ともに文句なしの代表作です。

 冒頭で主人公がラムネ菓子を頬張り、ヒロインの子に咎められるシーンです。

 この書き出しで2人の関係性が私の中で固まりました。

 ここに限らず、この小説は書いていてずっと楽しかったです。

 天から降ってきた設定なんですが、舞台もキャラクターも全部好きで、書き終わりながら「ああ、終わってしまう……」と寂しくなったほど。

 なので今長編に書き直しています。柳の下の泥鰌を血眼で狙いに行ってます。

 他の設定でこれを超える物語を書くことはできるのか? が2023年の命題ですね。精進します。




 さあ、栄えある第1位に輝いたのは……?


 少女との噛み合わなさはきっとこれからも続いていくだろう。嘘に辟易する日々もきっと、変わらないだろう。悔恨に苛まれる日も……完全になくなりはしないだろう。揺れる液面を見つめる探偵の瞳は、考えるように一旦伏せられた。

 しかしそうした日常を、愛して受け入れていこう。

 差し伸べられた手を取ったあの夜から彼はそう、決めていた。


 ――『幸運少女と笑わない探偵 ―古小烏探偵事務所の事件簿―』より

 https://kakuyomu.jp/works/16817330647914156291


 お前が1位だ。

 1日1回だけ幸運に恵まれる少女と他人の嘘を見破ることができる探偵が事件を解決する話です。

 すべての試練が終わり、締めのシーンです。盛大なネタバレだけど知らん。

 ここは文章的に何か技巧を凝らしたわけではないのですが物語のカタルシスを全回収するシーンなので、終わってしばらく放心しました。思い入れの深さで3億点。

 放心しすぎて気付いたら7kmくらい歩いてました。

 完結ショックは『ジャンキー・ジェット・ファイアワークス』の非じゃなかったです。ので、やはり続きを書いています(懲りない)。

 読まれなくても多分気が済むまで書くんじゃないでしょうか。そんな物語です。



 いかがだったでしょうか?

「結局作者の好き嫌いじゃん」ええそうですとも。

 でも好きなシーンがあるよ! って胸を張って堂々と言える作品の方が良くないですか?

 来年の創作活動も、そんな胸を張れるようなものでありたいと願いながら、今年の月見杯の結びとさせていただきたいと思います。


 あと2週間ほど残ってますが、来年もどうぞよろしくお願いします。

 良いお年を。そして良い創作ライフを。

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