第21話 - Eランクダンジョン
骨溶かしスライムを倒した俺はそのままダンジョンにの外に出た。
(あれは本当だったな)
出口への帰り道にもスライムと遭遇した。
それはダンジョンの中で魔物を全部倒してもまた現れるからだ。
(レベルアップに最適だ)
その中の例外はボスだけで、倒したら次に現れるのは24時間後だ。
「ふう」
結界を通して、外へ出た俺は近くの木に背を預けて、朝に買ったパンを
食べ始めた。
ダンジョンを出る前に時間を確認したので、今は12時くらいだ。
13時まで休むと決めて、周りを見ていたらダンジョンから人が出た。
(あの綺麗な人だ)
出たのは宿のお姉さんと魔術士?の子だ。
二人も休憩か、俺に小さく礼をして、反対にある木の下に腰を下ろし、食事を
始めた。
それから30分も経ったけど、ダンジョンから出たのは俺たち三人だけだった。
(不人気かな、ここ)
冒険者はランクEから始まるので、初心者でも最初から探索するのはEランク
だろうっと思ったが、正解みたい。
更に10分が過ぎて、もういい時間と思った俺はダンジョン探索を再開した。
◇◇◇◇
翌日。
今日も朝からダンジョンへ向かっている。
だけどその途中で武具店に寄って、銀貨3枚の革袋と金貨3枚と銀貨2枚の
ショートソードを買った。城で貰った装備は強いが、目立ちすぎる、だけど毎日
手ぶらでダンジョンに入るのは流石に怪しまれるので、少し奮発した。
(昨日のうちでするべきだったけど、そこまでに頭が回らなかったな)
買い物を済ませて、ダンジョンへ向かった。
今日はスライムじゃなく、西側にあるEランクダンジョンを探索する。
昨日のスライムたちは楽勝だったが、余りお金にならなかった。
回収した魔石を売っても、銀貨5枚になるかどうかといった感じだ。
これでは宿すら払えなくなる。
今の宿は少し高いけど、場所は静かで安心して寝れる、飯が美味しくて、お風呂は
疲れを癒す。長い時間この生活をするつもりので、せめて前者の二つだけは
維持したい。
っと、そう考えている間にダンジョンに着いた。
(これがEランクダンジョンか)
昨日のFランクと同じく、洞窟型のダンジョンだけど、泥臭いスライムの
ダンジョンと違って、入り口は硬い岩で出来ている。
そしてまた違う点が一つ。人が多い。
ダンジョンの入口付近は休憩や打ち合わせのために広場になっているのか。
そこに数十人くらいの冒険者たちが出入りしている。
(ファンタジー……)
大剣、鞭、杖、弓、棍棒など、みんな様々な武器と防具を装備している。
だけど、それ以上に目を引くのはやっぱり種族の豊富さだ。
エルフの方が多いけど、獣人や小人とかもちらほらいる。
もっと見てみたいと思ったが、そういう状況じゃないっと自分に聞かせて、
ダンジョンの結界へ近づいた。
―――【Eランクダンジョン - 洞窟型】―――
ソロ推奨レベル: 15~20
パーティー推奨レベル: 10~15
―――――――――――――――――――――
(ソロの推奨レベルじゃないが、高いステータスに頼るしかない)
最後の確認をして、俺はダンジョンに入った。
「ライト」
収納袋の武具を装備して、盾の魔術で周りを見た。
そこは灰色な岩でできていた洞窟。スライムのダンジョンより少し広い、そして
壁や地面は普通に乾いている。
調べはもう済んでいるので入口から離れて、俺は探索を始めた。
5分歩いていたところに分かれ道を見つけた、地図の情報通りで、不安より
安心を感じた。
左道に入り、更に5分歩いたところに最初の魔物と遭遇した。
(これがスケルトンか)
そいつの姿は人間の骸骨そのものだった。
右手には壊れた剣が握ていて、体の真ん中で骨に絡みついている魔石が見える。
そいつは俺に気づいたが歩きは遅い。お陰で俺は後ろへ下がりながら鑑定を
した。
―――――――――――――――――――――
【ステータス】
【名前】: スケルトン
【種族】: 魔物
【ランク】: E
【レベル】: 11
HP: 833 / 833
MP: 56 / 56
攻撃: 180 防御: 161
魔攻: 75 魔耐性: 70
筋力: 24 [24]
魔力: 7 [7]
知力: 10 [10]
速さ: 13 [13]
器用: 28 [28]
運: 10
【スキル】
- ? ? ?
―――――――――――――――――――――
(こいつも図鑑通りだ)
見えないが、こいつのスキルはなんと、普通の剣術 Lv.1だ。
低ランクだが、魔物討伐で金を稼ぎながら剣術スキル持ち相手に練習をする
ということができる。このダンジョンの人気の理由は多分それだろう。
(まだレベルが低い俺にとっても都合がいい、良すぎるくらいだ)
流石にいつまでもステータスを眺めているわけにいかないので、俺は
歩きを止まって、スケルトンと対峙した。
剣が届く距離に着くと、そいつはためらいなく俺に剣を振り下ろした。
体を少し横向きにして、盾を前に構えながら攻撃を避けた。
(以外に早い斬撃だ。 だけど……)
「フッ!」
剣を結構な速さで切りかかったが、最初の斬撃のままで腕は下ろし、追撃は
来なかった。その隙をついて、そいつの右肩に剣を力強く下した。
ボキキッ!
心臓辺りにあった魔石までに剣が進んで、そいつの骨が砕く音が洞窟に響いた。
魔石を完全に砕くことが出来なかった俺は素早く剣を抜き、盾を今更斜め下から
上がっていたそいつの剣を持つ腕にぶつけた。
流石にスケルトンというべき、そいつは俺が読んだ漫画や小説の通り、痛みを
感じないようだ。連撃は遅いが、右肩が砕かれたにもかかわらず、攻撃をする時の
迫力にためらいはないようだ。
それでも俺のシールドバッシュでそいつは物理的に後ろへ押されて、また出来た隙に俺はもう一度剣を振り下ろした。
今度こそスケルトンの魔石を捉え、剣の衝撃でパッキッっとガラスが割る音を
して、魔石はバラバラに砕かれた。
ギイッギイッギイッギイッ!!!
「っうひょい―!!!」
(なんだっ⁉)
魔石が壊されて、スケルトンはまるで糸を切られた人形のように倒れたが、
地面にぶつかる前、変な声で笑い出した。
(ギイッギイッってなんだよ⁉ 人の名前で笑いながら死ぬなよ!!)
「うほおっ、くそおお、 怖えええ!なんだよこの野郎!」
地面に宝箱があるので、生きているってことはないが、警戒半分、怒り半分で
そいつを蹴り、骸骨に剣を下した。
(うわああ~ マジでビビった~)
「はあぁ」
今日の探索はここまでにしようかっとすら思ったが、流石にそうはいかず、
俺はドロップした銅貨3枚を拾い、洞窟の奥へ向かった。
つづく
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