朝、まーくん。(エピローグ)

「まーくん、起きて」

 ママが呼んでいました。

 ふわっ、と目を開けた舞斗の前で、パパとママが微笑んでいました。

 ぱちぱちとまばたきして、ふたりと目を合わせて、えへへと笑います。

 舞斗は、夢の中で、大冒険をしていました。

 その中で、布団はすっかり蹴り飛ばされていました。

 がんばってきたお話をしようとしたところで、舞斗はお尻のあたりがぺちゃっとしていることに気づきました。

「おはよう、まーくん。朝ごはん、できてるよ――どうしたの?」

 舞斗がなんともいえない表情になったのを見て、ママが尋ねます。

「えっと……」

 少し腰をずらして体を起こし、さっきまでお尻のあったところを見ます。

 パパとママもそっちを見て、目を丸くしました。

「あらららら、ふふっ」

「わ、笑わないで……」

 舞斗が顔を赤くします。

「そうね。久しぶりにやっちゃったね。

 昨日寝る前にトイレ行かなかったでしょ。麦茶あんなに飲んでたのに」

 責める風ではなく、ふたりは落ち着いていました。

「何か、楽しい夢を見てたの?」

「ん、うん……あのね」

 駅までのパパのお迎え。

 雨上がりの公園への道。

 それから――

 舞斗が話そうとするのを、ママが「ちょっとだけ待ってね」と止めました。

「おしり拭きと着替え持ってくるから、そのまま待ってて」

「う……はい」

 パパが近くのチェストから、替えのパンツとおしり拭き、それにタオルを取ってきました。

 それをお尻の下に敷きます。

 舞斗「あのね……」と戦ってきたものを思い出しながら、お股のところがしっとりしたままのパジャマのズボンとパンツを脱いでママに渡します。

 お股を拭いて、パンツをはいて、がんばった話をします。

「そっか、すごいね」

 と、ママが優しく笑って言いました。

「じゃあこれは、まーくんの戦いの記録なんだ。それか、旅の地図かな」


 シーツには、ここまで舞斗がやってきた冒険が、シミで描かれていました。

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まーくんのぼうけん あきらつかさ @aqua_hare

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