第55話 決着後(2)
〜〜 トリートとの埋め合わせ 〜〜
まだまだスタンピードの被害が残る町中。
ただ、被害が少なかった家や店も多々あり、そういった店は、既に営業を開始している。
俺は既にある程度今日まわる店をチェックしてある。
隣で一緒に並んで歩いている美少女。今日はトリートと先日の埋め合わせの約束をした日だ。こんな時だが、美少女を見ていると気持ちは上向きになる。
「ねえ、私の顔を見てニヤニヤしてるのよぉ?私と……デ、デートできるのがそんなに嬉しいの?」
トリートは少し顔を赤く染めながらそんなことを言ってきた。
「そうだけど、悪いか!?」
「っぇえ!何言ってるのよ!………。」
トリートは俺の返しが以外だったのか、更に顔を赤く染めている。そんなに動揺するなら『デート』なんて言わなければ良いのに…。
そんなやり取りをしつつ、一軒の洋服店の前で足を止めた。
「ちょっと、ここに寄って行こうぜ!この店はいろいろと品揃えが豊富で人気なんだってさ。」
「っえ!ここって、有名なお店なんだよ。無理無理、値段も………それなりにするからとても手が出せないよ。」
「いいから行こうぜ。」
「ちょ、っちょと!!」
トリートの手を取って、少し強引に店の中に入っていく。そして、手を繋いだまま店内を少し見回してから、トリートの方を向く。トリートの顔が更に赤くなっていた。
「いい加減に手を放しなさいよ!」
口ではそう言っているが、自分から手を振り払うつもりは無いようだ…。その気になれば、やれるのだろうに。
「っふふふ。」
「何よも〜〜!」
「嫌だったら、自分から手を振り払えばいいじゃないかなってな…。」
そこで、トリートはさっと俺の手を振り払って、店の奥の方へ進んだ。俺はその後を追いかけて行く。
・・・・
「これなんて……どう? こっちも良いのよねぇ〜〜。」
「どっちも似合っているよ!」
最初は値段を見て遠慮していたトリートだったが、今ではノリノリである。この前のスタンピードの活躍で俺の懐が温かい事を伝えたからである。そして、ポケットマネーで、10着でも20着でもプレゼントしてやれると言ったら驚いていた。
結局、トリートは2着しか買わなかった。
遠慮することはないと言ったが、今は2着で十分らしい。けど、孤児院の子供たちの分も買っていた。別に考えていたが結果オーライだ。
「エド、こんなに可愛い服をプレゼントしてくれてありがとう!大切にするね。」
「いいよ。これまで色々と迷惑を掛けてきたし……やっと、自由に使えるお金もできたから、少しでも恩返しができればな。」
「ま、また、2人で一緒に買物しようね!?」
「ああ、俺はトリートと一緒ならいつでも大歓迎だぞ!」
「ありがとう、絶対だよ♡」
トリートが満面の笑みを浮かべた。本当に天使と言うかくらいに可愛かった。
その後、お茶を挟んで買い物を続けて、夕食を二人で取った。トリートも少しお酒を少し飲んでテンションが上がっている。いつもの俺に対するツンツン感が無くなっている。逆に異世界特有の女性の積極性が垣間見れる。
そして、そのまま一緒にホテルへ泊まってしまった。
・・・・・
チュンチュン。
まあ、トリートとは一度そういった関係になっているので、問題無いと俺は思っているが…。
ベッドの隣りで寝ているトリートが目を覚ました。
「おはよう…。」
「…………………。」
トリートは昨日の記憶を思い出しているようだ。顔を真赤にしていたが、子猫のような可愛らしい微笑みをして言葉を発した。
「………おはよう♡」
ヤバイ、可愛い………。俺は自然とそのままトリートの唇を奪っていた。
「っぇ、っぅうん。」
トリートは最初戸惑いと驚きもありつつも、俺の舌を受け入れてくれた…………。
結局、ホテルを出たのは、お昼過ぎとなってしまった。
その後、二人して遅いランチを取って孤児院で別れたのだった。
最強のクズ職〜てめぇら見てろよ召喚士だがこれからは俺のターンだ〜 樽秘 @gannta342
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