第54話 決着後(1)
転生119日目の昼。
ブラックウルフ亜種を討伐して、2つのスタンピードが終わってから一週間が経過した。
アイスラン町はまだまだスタンピードの被害の影響が色濃く残っている。ただ、この異世界の人々は、こういった災害への心構えができている。町中で互いに助け合いながら復興へ向けて動き出している。ただ、元通りになるにはまだ時間が掛かるようだ。
冒険者ギルドで聞いた話だと、死傷者数はアイスラン町で6割(3,000人)にもおよぶ。(アイスラン町の人口:約5,000人)
うち死者数は1割ほど(500人)。
重症者は2割ほど(1,000人)。
軽中等症は残り3割ほど(1,500人)。
アイスラン町は、男爵領だが近くにダンジョンがあり子爵領と同等の5,000人ほどの人口がいる。通常の男爵領だと2,000〜3,000人ほどである。
因みに貴族は領地の規模によって、首領以外に100〜300人ほどの村をいくつか所有しているのが一般的である。
アイスラン町にダブルスタンピードが発生したのに関わらず、この程度の被害で済んだのは奇跡だ。通常であれば、1つのスタンピードだけでも、町は大損害を受け死者数が半数ほど出たり、最悪の場合、町が壊滅したりする。
そして、領民の不満が溜まっている事がある。
それは、アキクズラ男爵への不満だ。領民への支援がほどんどされていないのである。これは、大きく2つの問題があった。
・アキクズラ男爵がクズであること。
領民のために支援金がほとんど出ていない。そもそも領民を自分の所有物としてしか見ていない。自分の欲求解消のために領民を食い物にしている。孤児院やトリートに対してのおこないがその一つである。最低限の町の維持のため、町壁や町門の復旧に金が出されていた。
・官僚達がクズであること。
支援金を中抜きして、自分の懐にいれているのである。官僚の横領が日常化していた。今回もほとんど支援金が領民には使われなかった。ただし、兵士達はまだ腐りきっておらず、兵士達が町の復興に協力していたことによって領民達は何とか暴動・反乱をしないでいた。
◆◇◆◇◆◇
俺自身の事と言えば、相当成長したと思っている。
ファイアボール(消費2)136発+ファイアアロー(消費1)1発(魔力値85→273)。
身体の成長は、岩の重量上げ450kgは余裕、500kgが限界。垂直跳びは530cm。身体強化スキル(上)を取得してから、一気に成長した感じだ。着実に金プレート上位の身体能力をつけている。
更に身長も1cm伸びて173cm→174cmほどとなった。見た目も細マッチョとなっている。筋肉が付きすぎている感じではなく、自分でも理想的な感じだ。
あと、冒険者ランクだが、銀プレートを飛び越して金プレートになった。なんと言っても、ブラックウルフ亜種の討伐が一番の理由だった。
ギルド長でもかなわなかったブラックウルフ亜種。金プレートが束になったとしても相当な被害を出してやっと討伐できるほどの災害級のモンスターと冒険者ギルドは認識している。
ギルド長のローン曰く「わしが手に負えなかったあのブラックウルフ亜種を倒したんだ。エド、お前は金プレートが妥当だ!!」との事だ。
金プレートを持っていれば、変な揉め事を抑制できるだろうし良いと思っている。
そして、今回最も驚いたのは、ブラックウルフ亜種の討伐報酬+素材売却の金額だ。この異世界では、一般人は金貨など滅多に見ない。ほとんど、銅貨か銀貨だ。それが、金貨120枚にもなった。
・討伐報酬 : 金貨5枚(500万円)
・素材売却 : 金貨115枚(1億1,500万円)
魔石(大):金貨100枚 ※極稀に入手
牙・毛皮など:金貨15枚
極稀に発見される魔石がブラックウルフ亜種から発見された。この魔石の発見が、一番大きかった。
そして、さすが冒険者ギルドといったところだろうか、この規模の金額を一括で渡してくれた。ただ、当初すべて金貨だけだった・・・。それだと、使い勝手が悪いので、金貨115枚(1億1,500万円)と銀貨500枚(500万円)に両替してもらった。金は収納スキルの中にしまってあるので、盗難や紛失の問題に対しても安心だ。
そして、彼女達のフォローも結構大変だった・・・。
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