第35話 オリハルコン・スコーピオン

 俺はボス部屋に入るなり毒餌をオリハルコンスコーピオンに向かって投げた

 オリハルコンスコーピオンは毒餌を食ったが、ピンピンしてる。

 毒耐性持ちか。


 仕方ない。

 俺は床に油を撒いた。

 オリハルコンスコーピオンがツルツルと滑る。


「【聖、痛っあ」


 ベロニカが滑って尻餅をついた。

 パンツ丸見えだぞ。


「上級、きゃあ」


 ダリアも滑ってこけた。


「【絶対貫、つう


 アザミも滑った。

 お前らが滑ってどうするんだよ。


「アザミ、こけたままでスキルを使え」

「了解。【絶対貫通】」


 投げナイフがオリハルコンスコーピオンの頭に突き刺さった。

 突き刺さったが、貫通するには至らない。

 スキルの名前に偽りありだな。


 刺さったから貫通してるよって落ちか。

 それは貫通とは言わないだろ。


 何とかするしかないか。

 火は駄目だな、みんなが巻き添えになる。


 風だな。


「ダリア、投げナイフが刺さった所にウィンドハンマーを打ち込め」

「ええ、上級風槌魔法」


 風が通り抜け、みんなの髪の毛が揺れる。

 オリハルコンスコーピオンは避けようと足を動かしたが、油で滑って空回りした。


 打撃音がして、投げナイフがめり込む。

 あと少しだ。


「ダリア、魔法を撃ち続けろ」


 ダリアの魔法が連続で放たれる。

 だが、決定打にはならない。


 ここで【たまにいい奴】を使うと、悪行ポイントがゼロになってラスボス戦が難しくなる。

 要は刺さった投げナイフが、もっと奥に刺されば良い。


 俺はバーベキュー用の鉄板を壁に設置した。

 収納鞄に入れといてよかったぜ。


 オリハルコンスコーピオンが滑って来て、鉄板に当たる。

 そしてそれがとどめとなった。


 3人はまだ滑っている。


「四つん這いで、油の範囲から、出るんだ」


 油は今度から止めておこう。


「お父さん酷い。ハイハイは恥ずかしかった」

「これはハグして貰わないと」

「抱擁と接吻を要求」


「床がピカピカの石だったから、良く滑りそうだなと。じっさいボスは楽に仕留められただろ」

「そうだけど、あれはないと思う」

「仕方ないハグしてやる」


 ベロニカと抱き合う。

 ベロニカの形の良い胸が、俺の胸板でつぶれる。


 おい、力を込め過ぎだ。

 俺は跳ね除けようとした。

 駄目だ。


 離れないつもりか。

 ならば。


 俺はベロニカの脇をくすぐった。


「ひゃははは」


 力が緩んだので、ハグを解いた。


「なかなかやりますね。次は私です。ではいきます。上級重力魔法」


 ダリアが俺に抱きつく。

 こいつ、重力魔法を使ってやがる。

 俺はくすぐった。


「うひゃひゃひゃ」


 離れない。

 大したもんだ。

 俺は耳に息を吹きかけた。


「ひゃん」


 ダリアがくたっとして、魔法が解けた。


「行く、【影潜】」

「おう、来い」


 アザミは俺の影に半分入って抱きついた。

 股間におっぱいが当たる。

 これはやばい。

 アザミの脇をくすぐろうにも手が届かない。


 閃光弾に火を点けて放る。

 光が出て影が消え、アザミのスキルが解除される。


「駄目だった」


「お父さんは凄い。こういうたわいのない遊びに、勝てないもん」

「ですわね。何でもありだと返されるイメージしか浮かびません」

「技多様」


 悪知恵にはたけているんだよ。

 それしか手札がないからな。


 とうぜん3人の弱点も知っている。

 ベロニカの聖剣スキルとて、剣に布を巻いてしまえば無力される。

 ダリアの魔法も集中力を乱せば良い。

 嫌いな虫の死骸を顔に放るとかだな。

 アザミの絶対貫通は煙幕を張れば良い。


 俺だって弱いなりに考えている。

 本気の戦いじゃないのに負けてたまるか。

 ギルドに帰って報告をする。


 どうやら、6階層へは俺達が一番乗りらしい。

 これ以降の階層の情報はない。


 慎重に行くか。

 3人には内緒でダンジョンに行き、俺はこそっと6階層を覗いた。

 寒い。

 吐く息が白い。


 6階層は極寒だった。

 この階層も厳しい戦いになりそうだ。

 俺は5階層に戻ってポータルを使いダンジョンから出た。


 さあて、寒さ対策か。

 使い捨てカイロなら、子供の頃に作った。

 炭と塩と鉄粉と水で作れる。

 あのコンクリートの錬金術師に作らせよう。

 きっと、長持ちして高性能な物を作るだろう。

-未完-

――――――――――――――――――――――――

 すみません、大幅改訂して出直します。

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踏み台クズ貴族が勇者の師匠~踏み台に転生した男は、平穏な生活を夢見る。だが、弟子たちが放っておいてくれない~ 喰寝丸太 @455834

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