第34話 罠が大活躍

 5階層のモンスターはサソリと蛇。

 多種多様な奴がいる。

 共通しているのは毒持ちだという事。


 ファンタジーの毒消しは優秀で、この階層にいる全種類に効く。

 簡単な攻略をという事で、引っ張ると輪が締まる仕掛けを作った。


 こんな簡単な罠に掛かる掛かる。

 卑劣な工作、万歳。

 この罠は売り出そう。


 蛇も口を閉じてしまえば恐れるに足りない。

 サソリもハサミが無ければ、後は毒針だけだ。


「何となく作業している気分」

「そう言うなよ。危険を冒すばかりが能じゃない」


 ダンジョンは焦ったのか、炎を纏ったフレイムスコーピオンを出して来た。

 そんな事だと思ったよ。

 俺は針金で作った罠でハサミを封じた。


 ダリアが風魔法で毒針を切り落とす。

 アザミが頭に風穴を開けた。


「フレイムスコーピオンの素材は高そうだな」

「炎を纏った武器を作れるらしいわ」

「そいつは重畳ちょうじょう


 さて次はどう来るかな。

 次に出て来たのは、キャノンスコーピオン。

 毒針を飛ばして来る。


 ベロニカが剣で毒針を叩き落とす。


 遠距離攻撃にきたか。

 俺は殺虫剤入りの煙玉に火を点けて投げた。


 キャノンスコーピオンは死んだ。

 これも商品になるな。


 砂がむくむくと持ち上がりながらこっちに近づいて来る。

 地中を進む敵か。


 俺は素早く砂を掘って、締まる例の罠を埋めた。

 当然のことながら引っ掛かる。

 引っ張ると、蛇のモンスターが出て来た。


 モールスネークだな。

 サクっとベロニカが首を刎ねた。


「何でみんなはお父さんの凄さが、分からないんでしょう」

「凄くないぞ。熟練の罠師なら、これぐらいはやる」

「一人でやっちゃうのが凄いのよ」


「本気の師匠とやって、勝てる気がしません」

「お前達には負けるって、そういう運命なのさ」

「覚醒した時に勝ったのはわざと負けてくれたと思ってます」

「そんな事ないさ。あれが俺の実力だよ」


「隠蔽体質」

「隠してないよ」


 3人はどうやら、俺が踏み台だとは思ってないようだ。

 わざと負けたわけじゃないんだけどな。

 英雄の心次第では、俺なんか水の上に浮いている木の葉だ。


 まあ、いいさ。

 そのうち、俺の実力が分かるだろう。


 お次は何だ。

 次は空飛ぶ蛇のモンスターだった。

 フライングスネークだな。


 締まる罠を空中に投げると口にすっぽり嵌った。

 俺が手繰り寄せると、ベロニカが首を刎ねた。


 何が来ても勝てそうだな。


 お次はなんだ。

 おおー、水で出来た蛇のモンスターが来る。

 罠ではすり抜けるってわけだな。


「ダリア、出番だ」

「上級火炎魔法」


 炎の竜巻が水の蛇を飲み込む。

 水が蒸発していく。

 あとにはコアらしき物と魔石が残った。


 こいつも貴重な素材なんだろうな。

 ダンジョンは諦めたようだ。


 モンスターがぱったりと出て来なくなる。

 打ち止めか。


「考え方が人間に近いな。それも考えの浅い奴だ。ダンジョンってみんなこうなのか?」

「普通、もっと機械的だと思う」

「そうね、相手によって戦略を変えたりしないわ」

「異端」


「イレギュラーってわけだな。用心して進もう」


 モンスターではらちが明かないと思ったのか、流砂で迷路を作ってきたようだ。

 周りが流砂だらけになった。

 杖で確認しながら進むが、まだるっこしい事この上ない


 だぁ、やっとられん。

 砂を採取してるとはいえ、そんなのは入口の付近だけだ。


 考えろ。

 ダンジョンに卑劣な工作をかますんだ。

 そうだ。

 俺は毛布をロープでしばり人数分の人形を作った。

 それを流砂に沈め。


「大変だ! ムスカリ教官とムスカリ親衛隊が流砂に飲まれた!」


 俺は叫んだ。

 ふふふっ、やったぞ。

 流砂の迷路がなくなった。


 こんなんで騙されるかふつう。

 俺のスキルはチート級だな。


 そして、ついにボス部屋に到着した。

 扉を少し開けて中を見る。

 あの金属光沢はオリハルコンだな。

 ボスはオリハルコンスコーピオンらしい。

 かなり強敵だ。

 ここで冒険者の大半を殺すつもりらしい。


 ハサミは罠で封じるとして、魔法と剣は通用しないだろう。

 アザミの絶対貫通が通用するかで、勝負が分かれるな。

 いや、毒餌を試してみるべきか。

 もう一つぐらい切り札が欲しいな。

 あれで行くか。

 そうしよう。

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