6 頭から離れない(千波)

「わ、わかりました...それでお願いします。」

もしかして、本当に盗撮じゃないのかな?だとしたら私、早とちりしちゃった。どうしよう。

そんな考えをぐるぐる巡らせながら写真を1枚1枚確認した。

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1枚目を見た時、音が消えた。


2枚目を見た時、香りが消えた。


3枚目を見た時、風が消えた。


そして、4枚目、5枚目、6枚目...どんどん何かが消えた。

でも、ただ1つ。カメラに映る景色だけは...消えなかった。


全ての感覚が、この写真によって消されたようだ。視覚だけが、生き残るように残った。


これは、この写真が素晴らしいからなのだろうか。それとも、もっと別の...

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「あの...これで全部なんですけど...」

あ。そうだ。私、この人と話してたんだ。盗撮したんじゃないかって疑ったんだっけ。

「あ、大丈夫でしたね...すみません。私の早とちりで。」

「いえ、大丈夫です。誤解が解けて良かったです。」

なんて答えたらいいんだろう。ただの会話なのに、頭が追いついてない。あの写真が、私の脳の機能を停止してるみたい。

「では、僕はもう行きますね。」

待って。待って。待って。その写真が...頭から離れない。

「待って!!!」

「...?なんですか?」





「な、何なの。その写真」

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行雲流水 コンペイトウに埋もれたい @konpeito__mlml

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