5 意外な表情 (茜)

「あの!やめてください!!」


「え?」

誰だこの人...というか、突然なんだ?やめてくださいって...僕なんかしたかな...

「なにが...ですか?」

「と、盗撮...です!!」

盗撮?!そんな、僕は海を撮っていただけなのに...なんなんだこの人は。

「勘違いしないでください。僕は海を撮っていたんです。」

「う、海?でも、カメラを私の方に向けていたじゃないですか!絶対写ってると思います!」

「はぁ...」

このまま否定し続けても信じて貰えないだろう......

「じゃあ写真見せますので、もし写ってたら消します。これでいいですか?」

「わ、わかりました...それでお願いします。」

本当にいい迷惑だ。僕は雪が溶ける前に、早く山に向かわないといけないのに。内心イライラしながら写真フォルダを開いて1枚1枚確認してもらった。

「...。」

どうせ、やってしまったって顔を見せるんだろうな。本当に腹が立つ。ただでさえ僕は急いでいるのに。まぁ、海に来てしまった僕も悪いんだがな...

全部見せ終わった頃に彼女の顔を見た。



彼女は…目を輝かせていた。

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