何の日に何やってんの?
家猫のノラ
第1話 豪華な弁当は何の味?
「んで謙太郎その後どうなったんだよ」
「どうもこうもねぇよ」
「嘘つけっ。あんな綺麗なお姉さんが迎えにきて何もないはずがない!教えないなんて水くさいぞ」
先週のバイトで俺がコンビニでレジ打ちしてたら、品出しやってた謙太郎が綺麗なお姉さんに声かけられてた。かなり長い時間喋った後、何も買わずに出てったなと思ったらバイト終わるまで店の前で待ってて車で謙太郎をさらっていった。俺を残して。不愉快極まりない。さらに、今責めているようにその後のことを全く教えてくれないのだ。
「水くさいって普通相談に乗ってくれるときに使うだろ」
「論点ずらすなぁ」
「語尾を伸ばすな。この前からネチネチしてるしよ、女子か」
「ウフフ最近少女漫画読んでるんだよね」
「気色悪い」
「フルで言うな略したほうがまだ精神的ダメージが低い」
「なんで読んでんの?」
そんなこと理由は一つに決まってんだろが!
「
「きっしょ」
「あれ、なんでだろう精神的ダメージが全然低くならない」
「そりゃよかったな」
「クソが…あれ、俺なんかいい感じに丸め込まれてない?そうだ…そうだよ!俺がお前のこと責めてたんじゃん!なんで逆になってんだよ」
「ちっ、バカなりに学習したか」
「おい犯人、カツサンド食うか」
購買で買ったカツサンド(半分は俺の腹の中だが)を顔の前に突きつける。
「優しいじゃねえか、さっきの怒りはなんだったんだよ」
「多分またお前は失恋するからな。前もって慰めてやるんだよ」
あいつが受け取ろうと伸ばした手を引っ込めやがったので、俺は善意で服に押し付けてやった。無反応かよ。
「…恋してないし」
「…少女漫画みたいな返しやめろよ。気色悪い。」
「はぁ?!」
俺は『気色悪い』に反応して欲しかったんだが。
「お前顔真っ赤だぞ。好きなんだよ」
「そんな小っ恥ずかしいことよく言えるな。何が『好きなんだよ』だ。俺ら高校生だぞ」
「謙ちゃんのはどんな人なの?身長は高いのかしら?ええ!違う学校なのぉ!凄いわぁ」
「恋バナやめい」
「譲ちゃんたらツッコミが雑になってるわよもう!可愛いんだから」
「…」
「んでどうなんだよ」
「…」
「…まぁ一瞬見ただけだけど、あのブランド女よりはいいっぽいよな」
俺が責めてんのに助け舟も出すんか。
「そんなブランド物だったのか…」
「ラルフローレン、ヴィヴィアン、グッチ…全部ヤバかっただろ。服見てないのかよ」
中にしか興味がないってか。近頃の若者は品がないねぇ。
「…ブランド物には疎い。お前こそ何でそんな知ってるんだ?」
そんなこと理由は一つに決まってんだろが!
「クララちゃんが洋服好きだから!!」
「クララ?ああ、あの高専に行った子か」
「そう。そんで今は変なフリルのついた男と付き合ってるらしい」
「…慰められるべきはお前の方じゃないか?」
「じゃあカツ食う」
今は美夜ちゃんやクララちゃんより肉の断面の方が俺を誘ってる。一緒になろうぜカツ子。
謙太郎は何も言わずに俺の口にカツ子を押し付けた。ちょっと激しいよカツ子。
「はいお前犯人ね」
「うぜぇ。うめぇ」
「そりゃよかったな」
「お前は何食べてんの?」
「それがさ、なんか今日やけに日替わり弁当が気合い入ってるんだけど、なんかあったっけ?」
「何もねぇな。ただの月曜日だわ」
憂鬱だな。
「だよな」
「ばあちゃんに好かれたんじゃねぇの?」
「いや量とかならわかるけど、メニューが気合い入ってるんだよ。唐揚げ、ハンバーグ、たらこスパゲッティ、おにぎりなんて猫型の海苔がはってあるんだよ」
今頃うまくかわせたと安堵しているだろうがまだ甘い!
「ばあちゃんはダメなん?年上なら何でもいいんじゃねぇの?」
「俺今から飯食うんだけど」
「ばあちゃんをそんな風に言うな!!」
「お前が言い出したんだろ!!」
「ばあちゃんは旦那もいるし、孫なんて15人もいるんだぞ!!」
「お前なんでそこまで知ってるんだよ…」
「ウフフ最近料理もお勉強してるのよ」
何の日に何やってんの? 家猫のノラ @ienekononora0116
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