森へと繋がり、

蜜屋 エイプリル

　拝啓 親愛なるわたくしのエイプ

　晴天と雨天がころりころりと入り混じる盛夏の候、貴方様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

　さて、この度わたくしは雛の頃より夢見ておりました蜜屋を開店することと相成りました。かねてよりお力添え頂いていた赤黄青の三姉妹様やカイマンの方、漂白孔雀様の助力も合わさっての開店でございます。感謝の歌声は何処まで響かせても鳴り止みません。

　蜜屋の名は「エイプリル」と致しました。貴方は皮肉めいた名だとお思いになるでしょうが初めにわたくしを裏切りになったのは貴方なのです、忘れないで。名刺を同封しております。けれど賢い貴方様なら意味はもうお分かりでしょう。決してもう二度と、その店を訪ねてわたくしの前に姿を現さないで。

　さようなら。そしてご結婚おめでとうございます。わたくし抜きの貴方様だけの幸せを樹上の細枝よりただお祈りしております。

　かしこ　青い憐れな有翼類より