海人アヅミ族と武蔵野 🏊‍♂️

上月くるを

海人アヅミ族と武蔵野 🏊‍♂️





 所沢の角川武蔵野ミュージアムにほど近い場所にたつ、とあるマンションの一室。

 金刺かなさし家のリビングで、小学四年生のタロウ少年がテーブルを覗きこんでいます。


 ママ、なにをそんなに一所懸命に読んでるの? 歴史のことならぼくにも教えて。

 あのね、今年もまた公募が始まるのよね、カクヨムさんの「角川武蔵野文学賞」。


 知ってる! 去年もその前年も応募したよね、中間選考カスリだったけど。(笑)

 いやな子ねえ 💦……でもママ、三回目も懲りずに書いてみようかな~と思って。


 そうなんだ……毎回すごい応募数なんでしょ? 受賞は奇跡に近いんじゃないの。

 だね~。けど、カクヨムユーザーとしてはお祭りに参加しないのはさびしくてね。




      📕




 その資料なんだ~。どれどれ? 角川文化振興財団発行の『武蔵野樹林』創刊号。

 いままでは武蔵野の正確な範囲も知らなかったけど、今度は基礎からと思ってね。


 へえ、そうなんだ~。で、まずは巻頭の中沢新一先生「武蔵野アースダイバー」。

 それがね、いきなりビックリだったのよ、うちのご先祖さまが紹介されているの。



 ――金刺氏の名前の由来は「金で刺す」こと。(=゚ω゚)ノ



 ちょっとママ、これって信州・諏訪の金刺氏のこと? ずいぶん物騒な由来だね。

 ほんとに。なんなの、これ?! って、ママも思わず目が点になっちゃったわよ。




      🌾




 かたや武蔵の由来は「胸刺むねさし」で、金属性の物で胸を刺すことを意味するだって。

 ということは……あらまあ、両氏とも入れ墨をしていたということになるわよね。


 大陸から渡来した海人アヅミ族(倭人わじん)のことは知っていたけど、なぜ入れ墨?

 たぶんだけど、日常的に海に潜るには個体の区別が必要だったんじゃないのかな。


 ふうん、現代のハンシャイメージからは考えられない正当な目的があったんだね。

 時代とともに価値観は変わるから、心の風通しをよくしておくことが大切だよね。


 うん、分かった~。で、そのアヅミ族が日本列島の各地で稲作を始めたんだよね。

 そうね、武蔵野地方では最大の水源である大宮・氷川神社から引いて来たみたい。




      🏙️




 なるほどね……巻頭の数頁を見ただけでも、なかなか興味深い内容のムックだね。

 ってあなた、こんな資料があれば掌編小説ぐらい簡単だとか思っていやしない?


 まさかや~。大丈夫、読んでもらえる小説のクォリティ度の高さ、知ってるから。

 ならいいけど、パパがお仕事から帰って来ても応募のこと言わないでよ、いい?


 うん、ママがいやなら言わないよ、どうせそのうち自分から言っちゃうんだしね。

 だね(笑)。頁を繰ってみると……あら、巻末にご高志宣言が掲載されているね。




 ――千万人が暮らす武蔵野台地が日本の将来の道しるべになる。 

          〈角川武蔵野文化財団理事長・角川歴彦〉




 角川武蔵野ミュージアム創設&『武蔵野樹林』創刊の辞を兼ねているみたいだね。

 お言葉どおり、真の人類の幸福のため大きな道標に成長して欲しいよね。(*^-^*)

 




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