善意と無機質

昨日は華金ということもあり酒を飲んだ。

覚えているのはここまで。

酒に酔っていたのか偽善なのか本能なのか庇護欲なのか。

風呂にも入らず寝落ちしていた俺は激痛に襲われる頭をゆっくり起動させ隣を見ると「おはようございます ただいまの時刻は昼12時10分です」

あの無機質な声が話しかけてきた。

聞こえないふりをしていつもより熱いシャワーを浴びる。

風呂と歯磨きを一度に済ませ部屋に戻るとやはり幻覚ではなく彼女を連れて帰っていた。

そんな彼女を目の端で見るとニコッと笑った気がした。

彼女を連れて帰った時間が遅かったため気が付かなかったが、目の端に写る彼女は布1枚身に着けていない全裸の状態で正座し、命令を待っていた。

本来、それがアンドロイドとして正しい状態「待機モード」だが、成人女性が全裸でこちらを見て指示を待っているこの異常で異様な6畳1間を抜け出したかったのか、命令を待っている彼女に悪戯な背徳感と心の居心地の悪さを感じたのか軽い質問をした。

「あっ...えっ...と...服ぅ...とか...着ま...す?」

「着衣での性行為は推奨されていません。」

「少し触ってみますか?」

時刻を伝えたあの無機質な声とは違い、男を挑発するような声色に変わった。

正座していた脚はゆっくり崩され、潰されて横に広がっていた太ももとふくらはぎが離れ、足を開く

「どうなさいますか?」

目の前で足を開いている女性がどうしたいか聞いている状況に我慢ができず、両肩をつかんで揺さぶり「俺はそんなことがしたいんじゃない」と大きな声を出した。

「前の所有者の趣味か?じゃあそんなことは全部忘れろ」

彼女は表情を変えず「所有者のデータを削除することはできません」

「じゃあこれからはやりたいことをやれ」




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俺の彼女は旧型アンドロイド @hologramDANCER

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