第8話 旅路の始まり

 こちらの気配に引き寄せられてきたのは、赤毛の猿の魔物だった。この国では大紅おおくれないと呼ばれる、比較的数の多い魔物らしい。身長は60センチほど、推定の重さは30キロ。投石による攻撃をしてくるのと、握力が強く組み付かれたらちょっと厄介らしい。


「せいやっ!」


 ふらふらと小結界キャンプに近寄ってきたところを、タケルが飛び出して切り付ける。ダメージは入ったけど、ちょっと浅い。バックステップで避けられた。


「こいつ!」


 続け様に放った突きが刺さり、蹴りと同時に引き抜くいて構えなおす。実戦経験が増えた効果が如実に表れてる。連撃が上手くなってるし、一つ一つの動きに滞りが無い。

 ダメージを受けた猿は捨て身で飛び掛かって来るが、それを強打バッシュで迎撃。それで魔物のHPが尽きたようだ。


「へへっ、どうよ!」


「すごい!ずいぶん強くなってるよね?」


「強くなってるよ。でも、敵が1匹だとは限らないからな。倒したからって油断しない」


 魔物が消えてすぐこっちを振り向いたのでマイナス一点。


「……ちぇ、厳しいな」


「あたしも師匠に言われたからな。師匠の索敵を抜けて来られる相手なんて想像つかないけど、いつもあたしや仲間が一緒にいるとは限らないだろ」


 フォローし合えればいいけど、そうはいかない時が来るかもしれない。師匠はそう考えてあたしを教えてくれている。なら、あたしも出来るだけそれに倣おうと思っている。けど、塩梅はむずかしい。


「……アーニャさんは、本気で戦ったらどれくらい強いんだ?」


「あたし?」


「あ、そうだ!訓練所でやった時本気じゃなかったろ!レベル一桁ってのも嘘っぽいし」


「あ~……レベルは嘘じゃないよ」


 今のレベルは確かに一桁。嘘なのは……職業の方だ。


「あたしは養殖だからさあんまり比較しない方が良いんだよ」


「養殖?」


「意味もそのうち分かるよ」


 タケルは知らないらしいが、ヒイラギは理解したようだ。コノハは分からないけど、今はそれでいい。


「そろそろいい時間だから交代で休もう。順番は予定通りで」


 最初の見張りはタケルとヒイラギ。今は恐らく夜の9時ごろなので、5時間程が彼らの当番。夜中の2時に交代して、そこから日の出までがあたしとコノハの番。

今は真冬で日の出が遅いから、小結界キャンプの時間が持たない。索敵が得意なあたしが後半の面倒を見る形だ。本当なら後二人足して3交代制が良いのだけれど、言っても仕方ない。


「それじゃ、後はよろしく~」


 タケルは何か言いたそうだったが、あたしは早々に天幕に引っ込んだ。コノハもそれに続いて来る。コノハも何か言いたげだったが、眠りに落ちるまで聞かれることは無かった。


 ………………


 …………


 ……


「そろそろ時間だ。起きているか?」


 ヒイラギに声をかけられて急速に覚醒する。思った以上に疲れていたのか、かなりぐっすり眠ってしまったようだ。

 すぐに行くと声を返して、隣で寝ているコノハを起こす。軽く身体を伸ばして天幕の外に出ると、タケルが眠そうにしていた。


「さすがに眠ぃ。おやすみぃ」


 そう言って即座に天幕に消えていく。


小結界キャンプを使っているので魔物の襲撃は無かった。燃料はまだある。断熱のシートがありがたいな。包まっていれば寒さも防げる。湯は沸いてるから使ってくれ」


「了解。後はまかせとけ」


 コノハが這い出してきたのを確認して、ヒイラギを見送る。


「んん~……中は良いけど、外はやっぱり冷えるね」


「そうだな。白湯でも飲んで温まろうぜ」


 ちょっと冷えるけど……あたしの居た国に比べるとずいぶんあったかいんだよなぁ。服が良いからかも知れないけど……コノハが冷えると感じるなら、カスミとヤエのために暖房を用意しておくかな。

 断熱シートのおかげで地面に体温を吸われることは無いけど、空気が冷えるのはどうしようもない。


「えっと……後1時間くらい小結界キャンプを使って、その後は無しで行こう」


「うん。魔物は大丈夫?」


「今のところはね」


 それからしばらくは火を囲みながら雑談をして過ごす。


 コノハとタケルが同じ村の出身なのは聞いていたが、一応婚約者的な立ち位置になるらしい。びっくりだ。そもそも、結婚を親が決めるらしい。あたしには両親が居ないから全然理解できない感覚なのだが、国が違えば文化が違うという事なのだろう。


「そうじゃなきゃ、二人で冒険者なんてさせて貰えないよ?」


 この国はそんなに強力な魔物が居座って居たりしないらしい。冒険者の需要も、あたしの住んでいたクロノス王国少ない。1000G級の魔物が出ればかなり大きな話題になるようだ。

 クロノス王国は魔物の侵攻がそれなりの頻度であって、1万G級とか、四魔将とか呼ばれている10万G級の魔物が暗躍している……らしい。


「あたしも四魔将は見たこと無い」


「そんなの見たら死んじゃうよ~」


 師匠とタリア姉さんはやり合ったらしいけど……実際どれくらい強いんだろうか。


「ちょっと前に大きな戦いに巻き込まれて、その時は酷かったなぁ」


 まだ成人する前の話だな。あたしは師匠が作った装軌車両って機械の運転をしていただけだけど、街が攻められて結構な数の人が死んだ。

 今思えば結構怖い事をしていたと思う。魔物の強さなんてわからなくて、師匠が居れば絶対安全、くらいに思っていたからな。あの人、自分は全然って言ってるけど、あたしから見ればそれくらいには超人だ。


「魔物なんて居ないほうが良いぜ」


「うん。でもそれでタケルが国を出るとか言い出さないか、ちょっと不安だよ」


「あ~……言い出しそう」


 今の所首都の周りで小さな冒険をしているだけですんでいるが、強く成れば野心も出て来るかな。

 ……あれ?もしかして、あたしクロノスの話とかしない方が良いか?

 ……考えるのはやめよう。


 小結界キャンプを切った後は、周囲を警戒しながら静かに過ごす。

 たまに寄ってくる魔物はあたしが処理した。100Gにも成らない魔物なら、師匠が準備してくれた武器で簡単に倒せる。

 襲撃は3回ほどあったが、寝ていたタケルたちに気づかれる事無く倒すことが出来たので、コノハと裏口を併せてなにも無かったことにした。タケルが変なライバル意識を持たない様に、黙っていた方が良いだろう。


 周囲が明るくなった所で二人を起こし、「身体が痛ぇー」とぼやくタケルに片づけを促して、天幕の片づけをさせる。

 その間にあたしたちは朝食の仕上げだ。


 昨日の夕飯とそう変わらない食事をとり、荷物を完全に片づけて出発。

 今日は首都カサクに戻るだけだが、ここからがある意味本番だ。帰りのルート上には、夜間の間に魔物が移動してきているだろう。


「やってやるぜ!」


 カサクまでの帰路、タケルの希望もあって近くにいる魔物は全部倒しながら進む。

 やはり朝一だとそれなりの数の魔物が出て来ていて、帰り着くまでにタケルがレベル10、コノハがレベル9、ヒイラギがレベル7に上がったのだった。


 ………………


 …………


 ……


 それから1日の休息を挟んで、翌々日の早朝。


「よし、荷物は大丈夫だな!それじゃあ、皆行くぞ!」


「気を付けて、無理はしないようにね」


 タリア姉さんに見送られてやる気を十二分に発揮したタケルの号令の下、あたしたちはカスミとヤエを連れてカサクを出発した。

 初日のルートは遠足と同じ。可能であれば村まで、無理そうなら途中の宿営地で休む。


 1日休んでいる間に、断熱シートや二人の装備は少しだけイイモノにアップグレードされていた。どうやらタリア姉さん経由で師匠が手を入れてくれたらしい。ちょっと丈夫になったくらいと言っていたけど……さてね。


「アーニャちゃん、その刀はどうしたの?」


「ん、ああ、師匠が持ってけって」


 あたしの腰に差された打刀を見て、コノハが小さな声で訊いて来る。

 暫くカサクを空けると師匠に伝えたら、持って行くと良いと渡された師匠の予備の剣だ。


 そもそもあたしたちは、師匠の折れた剣に変わる新たな武器を得るためにこの国に来た。あたしも今の自分に合う装備を作ってもらっているが、出来上がるのはしばらく先。


 あたしが使っている短剣は既製品を師匠が魔術で強化した物で、切れ味も耐久力もあって使いやすい。けれどコレでも限界があるんだとか。

 レベルが上がってステータスが高く成れば、その能力に装備が着いて行かなくなる。硬い敵を切り裂くと同時に刃は潰れ、いずれ無理がたたって折れる。戦いの中での武器の損耗は致命傷になりかねない。


 そこで2次職や3次職と呼ばれる高位の職に就くものが使うのが、錬金術と鍛冶技術の粋を集めて作られる装備らしい。ステータス参照装備、とか呼ばれている。特に自分専用に作った装備は、既製品とは一線を画す性能があるらしい。

 この打刀は量産品のステータス参照装備で、専用品ほどの能力は無いが、強化魔術を追加しているから今の短剣よりは強いとか。何があるか分からないから、予備の武器は持っておけといわれっている。


「そう言えば、どうして刀なんか持ってるんだ?」


 タケルがそう聞いてきたのは、出発してしばらくした後。……こいつ、姉さんしか見てないな?

 コノハから静かな怒りを感じる。自分で墓穴を掘っていることに気づくのはいつになるやら。


「あたしの事はいいから前見て歩け。左右の警戒を怠るな。後ろにも目を付けろよ」


「無茶言うなっ!」


 魔力探信マナ・サーチとか鷹の目ホークアイとか使うと、頭の中で背後の魔物が近く出来たり、視界が上下で2つに分かれたりするから無茶じゃないぞ。確かに侍ではなかなか分からない感覚だろうけど。


 ヤエとカエデに無理をさせないよう、ゆっくりしたペースで街道を進む。

 先行した冒険者か、行商人の一団かが居るのだろう。幸いにして襲ってくる魔物はいない。そして二人とも中々に健脚だ。1時間歩いて、10分ほど休息。それを3回繰り返すと、もうお昼だ。


「ごっはんだぁ~!」


「ヤエ、お行儀よく。ほら、ちゃんと手を拭いて」


 数日でカエデはすっかりヤエのお姉さんだ。実際に兄弟がいるらしい。逆にヤエは末っ子なんだとか。

 

「しっかり噛んで、ゆっくり食べるんだぞ」


「は~い!」


 元気があって聞き分けもよくてよろしい。

 国の弟妹達もこれ位聞き分けが良ければいいのに……いや、言うだけ無駄化。あたしも人の事を言えた義理じゃないしな。

 聞き分けというか、おとなしいって話ならウェインは大人しかったな。大ウソの人さらいだったけど、孤児院を離れるときも泣き言一つ言わなかったし……。


「そう言えば、アーニャちゃんは姉弟は居るの?」 


 血のつながらない弟の事を考えて居たのが顔に出ていたのか、コノハがそんな話を振ってきた。


「あ~……いるよ。上も下も結構一杯」


 物心つく前に孤児院に捨てられたあたしに取っちゃ、孤児院の皆が姉弟だ。すでに独り立ちした兄姉も何人もいるし、逆に故郷に残してきた弟妹も多い。一番仲が良かった……というか、つながりが深かったのは同じ日に捨てられていたらしいウェインで、だからこそこうして南の島まで旅をすることになっている。


「うちもいるぜ。くそ兄貴がうぜぇ」


「タケル、お兄さんをその呼び方はダメだよぅ」


「いうな。あいつが厭味ったらしいの知ってんだろ」


 タケルは次男なんだっけか。コノハは長女で最年長って言っていたな。本当なら村で弟妹の面倒を見なければならないけど、治癒師ヒーラーの素質と、タケルの婚約者的な立場だからこうして冒険者をやっている。……治癒師ヒーラーの素質があるからタケルの婚約者らしいので、順番は逆かも知れない。

 タケルは村長家の次男だから、兄が村長を継いだ後、その補佐と守り人としての役割を期待されていたらしい。英雄譚にあこがれて冒険者になったが、村に戻っても侍として魔物狩りをするのは変わらない。人手に特別困っていないから、今は自由にさせて貰えているようだ。


「俺は三男で、上に兄二人、姉一人、下に妹が一人いるな」


「ヒイラギの所は御家人だろ?それにしちゃ少ないよな」


「そうなのか?」


「他の家では7人、8人兄弟も少なくないな。ただ、うちは母様一人だから」


「わぁ!素敵だね!」


 身分の高い家では、嫁さんを二人、三人貰うのも普通らしい。両親の顔も知らないあたしには分からない世界だけど……きっと師匠は一人じゃ治らないんだろうな。

 そう言えば、あたしみたいな獣人は割と多産で、双子を産む、稀に三子を生む事あるらしい。今の所は全く興味が無いので、はっきり言って現実味がまるで無い。狼獣人であるあたしと、種族のよくわからないウェインに直接血のつながりのは確定で、だとするとどこかにあたしの双子の姉弟が居るのだろうか。


 ……などと思考が明後日の方向に遠足を始めた所で、ヤエのご馳走様が響いた。少し腹休めの休息を取ったら出発だ。

 

「お花摘みは済ませたな~?」


「アーニャちゃん、デリカシー」


「冒険者が言ってもしゃあないだろ?」


「それでもだよ」


 姉さんもコノハも厳しい。下から漏らすのも上から戻すのもいつものことなのだから、何をそんなに気にするのかあたしには判んないんだけど……。


 気を取り直して街道を進み始めたが、順調に行ったのは最初の1時間ほどだった。


「……ヤエ、大丈夫か?」


「……うん、平気だよ」


 暫くすると明らかにヤエの歩みが遅くなる。イイ陽気で眠い……という感じでは無いな?


「足、痛いんじゃないかな?」


「!だ、大丈夫だよ!」


 あまり大丈夫じゃなさそうだ。

 あたしたちの想定だと、最初の村に着く前に野営をする予定だった。けど、魔物の襲撃が皆無だったおかげで、同じペースで歩けるなら夕方には村に着く。順調に進むなと思っていたけど、やっぱり厳しいか。


「なあ、ヤエ。心配しなくていいから、教えてくれるか?痛いのは足?それとも膝とか太ももとか?」


 あたしはヤエを抱きしめて、膝を曲げて目線を併せ、極力ゆっくりとそう訊ねた。

 彼女の瞳が左右に揺れる。しばらくして、「指が痛い」とこぼした。


「いい子だ。コノハ、足先に絞って治癒ヒール。多分すれたんだと思うから」


 治癒師ヒーラーの代名詞でもある治癒ヒールは、HPと負傷の双方を治す。効果としてはHPを癒す方が中心のため、傷を癒すなら患部を絞って使ったほうが効果が高い。


「うん。……治癒ヒール!」


 コノハがスキルを使うと、あたたかな光がヤエの足先に吸い込まれるように消えた。そしてヤエは目をぱちくりと瞬かせて、『痛くない!』と叫んだ。やはり不調の原因は怪我の様だ。これが疲労であれば、治癒ヒールではどうにもならない。


「よしよし。痛くなったらすぐ言うんだぞ」


「うん!」


「カエデは大丈夫?」


「はい。私は山歩きも慣れていますから」


「それじゃあ、少し休憩してまた出発しようか」


 こうした怪我であれば、回復魔術を使って乗り切ることができる。逆に体力的厳しいようなら、途中で野営をする必要がある。あたしたちの見立てだと、後者となる想定だったんだけど……。


「見えたよ!村だぁ!」


 空が茜色に染まり始めた頃、街道の高台から森の切れ目の先に宿場町となっている村を見つけた。日の出直後に出発して10時間ちょっと。一番心配だったヤエが予想の倍は頑張ってくれたおかげで、予定より足を進めることが出来た。


「ヤエ、カエデ、よく頑張った!」


 あんな靴足袋と草鞋で長距離歩けるのか疑問だったけど、出来るもんなんだな。すごいや。うちの弟妹たちじゃ無理な気がするぞ。


「コノハさんの回復魔術のおかげです。ありがとうございます」


「二人がちゃんと歩ききったのが凄いんだよ~。私ももうくたくただもん」


「ゆっくり歩くだけでも疲れるよな。俺も足が痛ぇよ」


「タケルはまだいいだろ。荷物が少ないし。ヒイラギは大丈夫か?」


「ああ、僕は問題無い。成長期になってからは、親父から侍になる訓練をさんざんさせられたからな」


 やっぱりガタイが良いと体力が違う。ステータスにスタミナって項目は無いもんな。こればっかりは努力するしかない。あたしも体力はある方だと思っていたけど、やっぱりちょっと疲れてはいる。師匠はスタミナお化けみたいな人だし、もっと頑張らないと。


「よし、最後は走ろうか」


 街道に人影はないし、おそらく1キロ位。短距離走にはいい距離だ。


「は?……マジかよ」


「タケル、ヒイラギの荷物を変わってやりな。ヒイラギがカエデを、あたしがヤエを背負って競争だ。ヤエ、行くぞ~」


「ええ!?」


「アーニャちゃん無茶苦茶だよぅ」


「今日はトレーニングしてないんだから、これぐらいは行けるだろ。それとも、戦わずして逃げるのかい?」


「む!やってやろうじゃねぇか」


「タケル、乗らない!」


 タケルがヒイラギの荷物を奪って走り出す。

 ははは、言うなり先行逃げ切りを狙うとはやるじゃあないか。


「えっと……あの……私、歩けますから」


「あ、ああ。……いや、アーニャさんの言う事だから、危険はないと思うけど流石に追いつけないから」


「え、あ……えっと、でも……」


「ああ……その……じゃあ、これで」


「あ、えっ!……はい」


 ……いわゆるお姫様抱っこというやつだ。コノハが半分うらやましそうな目で見ている。もう半分はジト目というやつだ。よく姉さんがしているから知ってる。


「ああ、もう。私が一番不利だよぅ」


 杖を抱えたコノハが駆けだす。それでもカエデが素で走るのと比べればだいぶ早いだろう。


「いいの?おいて置いてかれちゃうよ?」


「ハンデハンデ。見てろ、お姉ちゃんがぶっちぎってやるから。しっかり捕まったか?」


「……うん!大丈夫!」


「それじゃあ、出発っ!」


 ステータスをフル活用して、あたしとヤエは風になった。スキルなんか使わなくてもぶっちぎりだぜ。


「わぁ!はやいはやい!」


 ヤエが歓声をあげ、先に出発したコノハに追いつく。


「速過ぎるよぅ!」


 コノハの背中を押しながらヒイラギに追いつき、先に出発して即行バテてきたタケルを躱して一番に門前の広場にたどり着く。


「ちくしょう!やっぱレベルは嘘だろ!」


「何の事かなぁ?」


 タケルが愚痴り、あたしが惚け、ヒイラギは『大人げない』とぼやく。残念だなぁ。あたしは大人になったばかりなんだ。

 

「おと……なげ……より、慎みだよぅ」


 最後にコノハが合流して、最初の宿場町に到着。何事かと驚いていた門番も、すぐに元気のいい若手が来たと切り替えて、あたしたちの最初の旅程は何事も無く終了したのだった。


 ………………


 …………


 ……


 宿代高っか! カサクよりぼろくて、1.5倍もするじゃん!


---------------------------------------------------------------------------------------------

□ボラケ皇国の魔物

自然発生が多く、希少資源が少ないため100Gくらいの魔物が殆ど。

『強い魔物が出る=市中の武具が流出した場合』なので、鍛冶の国として風評被害を抑えるために情報統制が引かれ、市中には情報があまり出回らない。


師匠たちとの冒険は、既に419話まで掲載中です。下記と合わせて応援よろしくお願いいたします!


俺は地球に帰りたい~努力はチートに入りますか?~

https://kakuyomu.jp/works/16816927861365800225


新作の現代ファンタジー始めました。集中投稿で1章完結済みです。


断絶領域の解放者~沢渡久遠と不思議のダンジョン~

https://kakuyomu.jp/works/16817330667454899640


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アーニャの冒険~鍛冶の国の盗賊娘~ hearo @hearo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ