第158話 新大陸

ムツキ達は1週間ほどの船旅を楽しんだ所で目的としている大陸が見えてきた。


「ムツキ様! 島が見えましたわ! ムツキ様、シャーリーも、はやく!」


「あれが人が言ったことのない大陸! 初めての土地!」


エレノアとアインが船から乗り出すように島を見て、ムツキを手招きしている。


「ムツキ様は早く言ってあげてください。私はゆっくり運びますから」


「シャーリー、私が運べば一緒のスピードでいけるでしょう?」


ムツキは自分の持っていたプレートお盆を片手に持ち変えると、シャーリーの持っていたプレートを空いた手でヒョイと持った。


「ほら、行きましょう」


「ありがとうございます」


ちょうどご飯を食べる準備をしていた所で、海を見ながら食べる為外へ運んでいる所だったのだが、エレノアとアインは料理を乗せたプレートを持っていなかったので島が見えた事で先に行ってしまったのだ。


シャーリーも一緒に行きたかっただろうに、プレートを持っていた為行けなかった。

それでもムツキを呼ぶ2人に気を遣ったようだが、ムツキはそれに気づいており、早く行けるようにシャーリーの分のプレートを持ったのであった。


シャーリーはお礼を言いながら嬉しそうに微笑むと、少し小走りでエレノア達と合流して現れた島を見る。


ムツキも船首の方へ移動して、テーブルを用意して食事の乗ったプレートを置いた。


食事を置いた後はムツキもエレノア達と一緒に島を見る。

まだ遠くに小さく見えているだけなのだが、行ったことのない新しい大陸と思うと胸が高鳴った。


「ビアンキ、あの島にはどのくらいに着く?」


「主、今のペースなら昼過ぎには着く。私が引いていれば攻撃されることもない。安心してゆっくり食事をしていれば着くぞ」


ムツキが船を引くビアンキに質問するとそんな返事が返ってきたので、用意した朝食を食べることにした。


新大陸の話をしながらゆっくり食べていると、どんどん島は大きくなっていく。


食事を食べ終える頃には、ビアンキが言った通りもうすぐ上陸できそうなほどに近くまで来ていた。


島の近くまで来ると、上陸できそうな浜に人が沢山いるのが分かる。


ビアンキの話で魔者ドラゴノイドと言っていたのでオークのようにドラゴンが人化した姿で、ムツキは物語のリザードマンのようなトカゲ顔を想像していたのだが、ムツキの目に映るのはムツキ達人と同じに見える。


エレノア達もそう思ったようで、口々に疑問を口にしている。


「ドラゴノイドというのはオーク達とはまた違った雰囲気ですのね?」


「奥方よ、ドラゴノイドは魔者の中でも更に上位種にあたる。我々ドラゴンとは見た目が違うが、ドラゴンの様な力を持つ種なのだ」


「へえ」


「所で、魔者といえばオーク達は言葉が通じなかったがドラゴノイドは大丈夫なのか?」


ムツキは地球でも大陸を渡れば言語が変わる為、そこが不安であった。


「大丈夫だ。我とも対話したことがある。我もいる事だし任せておいてくれ!」


そう言って意気揚々と浜に近づいていくビアンキであったが、浜にいるドラゴノイド達は船が近づくにつれ緊張がました様子で、ムツキ達が浜に降りられるようになる頃には武器を構えていた。


「どうなってるの? ビアンキ」


ムツキの質問にビアンキが答える前に浜の方から大きな声が聞こえた。


「ビアンキ殿ー! 大丈夫か? 今助ける!」


どうやら色々と勘違いがある様であった。




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あとがき


今年もドラゴンノベルス小説コンテストに参加中です!


新作

《ある日、世界に出現したダンジョンは、開門前にバカスカ敵を倒した僕のせいで難易度が激高したらしい。》


https://kakuyomu.jp/works/16818093073378423466


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無能と言われた召喚者、詐欺スキルにて有能以上へと至る シュガースプーン。 @shugashuga

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