7話 進展

少し嫌な予感はしていたが、その予想は的中して車から出てきた女性は自分に話しかけてきた。

「なんで僕の名前を知っているんですか?」


そう聞くとその女性はすこし後ろめたそうにしながらも答えた。

「すこし事情があってね、それで調べさせてもらったの。それよりもあなた学校の旧校舎に行ったでしょ?」

とむらは背筋に少し寒気が走った

(なんでこの女がそんなこと知っているんだ?)

冷静をよそいながら返事を返す

「何の話ですか?」

とむらにとってそうごまかすしかない

「あなたここの近くの私立の高校でしょ?そこの旧校舎のことよ。」

「もし行ったとして何か問題でも?」

「問題大ありよ、そこで地下のファントムの資料を見ちゃったんでしょ?」

とむらは嫌な予感が的中したと思った。

「お前もしかして僕をつけていた連中か」

「部分的にはそうよ、詳しい話はあとでするから車に乗りなさい」

「なぜ僕をつけていた連中が急に接触してくるんだ?」

「事情が変わったの。あなたこのままだと消されるわよ」

とむらはそれを聞き少し眩暈を感じながらも質問する

「消される?」



とむらは訝しげにしながらも車に乗ることにした。

(僕をつけている組織はかなり大きな組織だろう。ならば消そうと思えばわざわざ僕に接触せずに消せたはずだ。何が狙いなんだ)

そんなことを考えながら車に乗っているとその女性が話しかけてきた

「私の名前は葛西彩希、覚えといて」

「僕をこんな車に乗せて何の用なんですか?」

「さっきも言ったでしょ、きみ組織を調べていると消されるわよ」

とむらはさっきから思っていた疑問をぶつけてみる

「ならあなたは僕のことを消さないのですか?」

「私はきみを助けに来たのよ」

「僕を監視している組織の仲間なのでは?」

「ちょっと事情があって入っているだけよ}

「私の仲間に助けを呼んだの、きみはその人と一緒に身を隠しなさい」

「いきなりなんなんだ、急に来たと思ったら逃げろだのなんだのって」


とむらはいきなり言われたことに衝撃を受けていて疲れていた

そんな中、車が止まった。

葛西が声を掛けてくる

「着いたわよ」

そこは自分が住んでいる街を南に進むと着く海岸沿いの港だった。

もう着いた頃には太陽が傾いてこんな漁船が停泊していそうな場所でも幾分かいい雰囲気の場所になっていた。

「こんなところにあなたの仲間がいるのか」

「ええそうよ、もうすぐ着くはず」

とむらを車を降りて海を眺めてみる

(もし僕の違和感が本物で今までのことが誰かに作られたものならば、僕は本当に朔月とむらと言っていいのか。それとも誰でもないのか)

「考えても仕方ないことかもな」



ヴィィィィン

そんなことを考えていると遠くの方からエンジン音が聞こえてくる

「やっと来たわね」

そう葛西がいうと海の向こうから見える影がどんどん近づいてきた。

「朔月とむら、あの船に私の仲間がいる。すぐに会えるわ」

「なんでこんなことになったんだ。」

遠くからだったので小さく感じていた船だったが近づけば近づくほどその影は大きくなり、港に停泊した時には見上げなければすべてを見切れないぐらいの大きさだった。







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lie to truth しろい @siroi0

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