「猫型ロボット」と聞いてあの国民的マンガが連想され、黒い……となると、てっきりロボットにしてやられるのかと思ったのだが、そんなことは全くなかった。
いや、むしろ、そうであった方がよっぽどマシだった。
舞台は夜の長い極寒の星。厳しい環境の中で、主人公の男は懸命に、堅実に生きてきた。
妻の為に購入した黒い猫型の「お手伝いロボット」も可愛らしく、あたたかい日々は続くものと思われたのだが……
きっかけのあまりの些細さ、そこから始まる急転直下、落ちた先までがスピーディに描かれ、あっという間に物語に置いていかれる感覚。
文量はショートショートと短編の中間程度だと思われるが、その中にホラーの優れた点が詰め込まれた作品。
オマージュ元の作品も是非読んでみたいと思う。