なんてことないさ。

帰坂省

prologue


毎日繰り返す登下校の風景も、


エネルギーの塊みたいなクラスメイトたちも、


慣れ親しんだ教室のあの窓際の席だって、

いつかは記憶の中で褪せながら補完されていく。


もちろん今から僕があさひに向ける言葉一つとったって、彼の記憶の中に溶け込んでいくんだろう。


もしかしたら、終いには消えてしまうのかもしれない。



柄にもなく汗が滲んだ手のひらを握りしめた。


あの日は、ちょうど秋雨の過ぎ去った穏やかな夜だったように思う。

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なんてことないさ。 帰坂省 @ho-taru

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