防衛戦

「ホントに、ごめん」

「大丈夫だから」


さっきから何度もネルに謝られている


(まぁ情報聞き出せたし)


アーマーを動かしていたパイロットはかなり信頼性の高い情報を提供してくれた


「次はジャンクヤードに置いて来たコンテナに積み替えるぞ」


監視カメラに投げ入れた一部始終が映っていると良いが


「分かった」

「ま、その前に」


他のAFメンバーのデバイスから予定表を確認して写真に撮る


聞き出した情報を少し修正してしっかりと計画を立てる


「それじゃあ」

「Anti"F"を、襲撃」


恐らく俺達の他の拠点を襲撃したであろうAF部隊のキャンプを破壊、出来る限り隠蔽工作と同時進行で行う


「ま、少なくとも一カ月は必要か」

「まずは、準備工作」


気絶したAFメンバーから制服を拝借


聞き出した情報とAFメンバーのデバイス内データを照らし合わせ、2日後のフリューデン基地の襲撃計画にしれっと参加、

わざと失敗してスラムの中に巧妙に隠されたキャンプに逃げ込む


「投降しろ!フリューデンだ!」

「クソッタレ!」


激しい銃撃戦が始まった


「右前方32だ!」

「了解、一旦撤退しろ!」


実際は4人だけど

前線をわざと下げさせる


《武装解析...完了

LMG1名

サブマシンガン1名

アサルトライフル2名》


「フラッシュを使う!」


近くの弾薬箱に置いてあったフラッシュバンのピンを抜き、右前方の遮蔽物の向こうに投げ入れ、遮蔽から出て来たフリューデンをマークスマンライフルで撃ち抜く


『早く来い!』

「後少し待ってくれ!」


(この銃精度いいな)


お返しと言いたげに飛んできたグレネードを撃ち、C4を弾薬箱の中に設置して"味方"の陣営に転がり込む


「遅いぞ新兵!」


4点バーストのアサルトライフルを確実にヒットさせている奴に怒鳴られる


「所属は?」

「未所属です」

「それであの腕前か」

「ありがとうございます」


マークスマンのリロード中にクラスターボックスが飛んで来たのでリボルバーで破壊する


「支給されたラテラルバーストは?」

「...俺、単発系以外が苦手で」

「それで?」


一瞬見えたバトルアーマーのカメラを撃つ


「一発も当たらずに弾切れしました」


盛大に吹き出された


「ウッソだろお前」

「残念な事にホントです」

「そっかー(笑)」


あの銃反動皆無なんだけどなーと更に笑われてしまった


「ところで」

「はい?」


こちらを狙っている無反動砲の銃口に弾丸を叩き込む


「その銃どこで拾った?」

「...構えたまま死んでる人がいたのでお借りしました」

「...そいつはドワーフだったか?」

「はい」

「そうか」


いい奴だったんだがな、と明らかに落胆した様子だった


下がれ!と怒号が飛ぶ


「とうとうバトルアーマーまで出て来たか」

「見た感じフリューデンオリジナルみたいなんですよね」


牽制としてグレネードを前方2メートルに投げ体勢を立て直す


遮蔽に隠れてカメラを壊そうと思ったら見失ってしまった


「どこらへんですかね」

「どこってお前、あの図体が隠れられる大きさの壁なんてあそこの弾薬箱の近くしか無いだろ」


さっきいた場所だった


「C4起爆します」

「は?」


ドゴォォォン


透明なのに確かに輪郭が見えた


「さっき引く時に仕掛けて置いたんです」

「すげーなーお前」

『東側が突破された!このキャンプを破棄し、各員逃走せよ!』


無線で撤退命令が出された


「あー、じゃあ逃げないとな、お前名前は?」

「シュンキです」

「分かった、その銃改造するなり売っぱらったり自由にしろ、俺はダイゴローだ」

「それでは」

「じゃあな」


お互いのため別の方向に逃げて撹乱、スラムに紛れこみ2〜3日潜伏する...のだが今はネルと合流するのが最優先だ


周りにAFもフリューデンも見えなくなったのを確めて予めお互いのデバイスに入れて置いたGPSでネルの位置を確認、制服からいつもの服に着替えた後、彼女が逃走中という事も視野に入れ 85を展開する


「そろそろ見え...なんでバトルアーマーに」


(あの足の速さなら余裕で振り切れるはず)


バトルアーマーの膝を撃とうとして脚部がフロートになっているのに気付く


(殲滅特化か...一回牽制しよう)


速度を考慮してネルの少し前を狙って炸裂弾を発射、バトルアーマーのすぐ手前に着弾し怯んで速度が明らかに落ちる

そこに二発目を頭部に当てて視界を奪った


ネルが逃げ切ったのを確認して85を収納、すぐにその場を離れてダクトを通り階段を使わずに地上階に降りる


(周りに人影は...なしと)


囮として16Nを展開し警戒しながら薄暗い道を通り、別のAFキャンプの周辺をうろつく


(LMGって本来ならどういう運用するんだ?まぁ少なくとも敵陣地に突撃してブッパ、じゃ無いのは分かるけど)


15分ほど歩いてふとそんな事を考える


(Fbkに使われている機能が登場するもっと前、銃で撃たれたら致命傷になった時代だとかなりの脅威になったはずだし...そもそもマシンガン...もとい軽機関銃だからマシンガンが元々のヤツだよな?となるとLMGを大型化した物、つまりネルの3rLMGより二回り大きなサイズになる、そうするとパワー系獣人はともかく他の種族は持ち運びが不可能になるな...となると主に陣地防衛とかの固定式になるのか、でもそうするとLMGが生まれた経緯の説明になってな...)


缶が潰れる音がした


すぐにゴミ箱の裏に隠れる


(バトルアーマー...)


「大型かぁ...」

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