第3話(8)



そんな心配をよそに、セレスはすぐに満面の笑みで顔を上げ、嬉しそうに言った。


「アリーゼちゃんはすごいんだね!!あんな魔術がもう使えるなんて・・・!すごいすごい!!」


「そ、そうかな・・・?怖くない?」


「火はちょっと怖かったけど、でもあれだって人の方には落ちてこなかったから大丈夫だったよ!アリーゼちゃんはすごいね!!」


セレスはぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んでいる。


うっ・・・!笑顔がまぶしい・・・!


森一つ消したのにこの子は天使か・・・!




「そんなにすごいか?あれ。」


「あ!お前!!」


ふと声の方を見るとあの毒舌うさ耳少年が歩いてきていた。


「目的はスライム退治だけのはずだったのに、森はほぼ全壊・・・。そんなの、ただの力加減を知らないバカっていうんじゃないのか?」


「なっ・・・!」


「アリーゼちゃん・・・!」



うさ耳少年は私の元まで歩いて来ると、耳元で誰にも聞こえないように囁いた。


「——あの巨大スライムをこの森に放ったのは俺だ。まさか魔王軍の姫がこんなにバカだったとはな。」


「・・・!」


こいつ・・・私が魔王の子供だって知ってる!?


しかもスライムを放ったって一体・・・!


「お前何者だよ・・・!」


私の言葉は完全に無視して、うさ耳少年はくるっと向きを変えると


「ほら、先生が呼んでるぞ。先行くからな。」


と言っていってしまった。


「アリーゼちゃん・・・。大丈夫?」


「う、うん・・・。セレスも行こ?」


「うん・・・!」


あいつ・・・なんで私の正体を・・・!


私は心にもやを抱えたまま、セレスと一緒にクラスメイトの元まで歩き出した。





——この時の私は、この事件以降私のあだ名が『破壊神』になることをまだ知らない——




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転生先は魔王軍のお姫様でした!?~最強の才能でこの世界を謳歌する!~ 篠月 @akrl

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