第3話(7)



森は既に炎の海と化していた。


「・・・これでようやく小さいスライムは一掃できたみたいね・・・。」


私は大きく両手を掲げ、さらに魔力を手に集中させる。


「これが・・・最後っっ!!」


思いっきり両手を振り下ろすと同時に巨大な炎の塊が落ちた。


ドォォォォン・・・



スタっと地面に降り立つと森はもはや完全に“森”ではなくなっていた。


森の中央には巨大なクレータ—ができ、生き物は皆、スライムも含めて死滅していた。


「あれ・・・?もしかしてやりすぎ・・・?」


見通しが良くなった森で先生たちの方を見ると、クラスの皆に混じってセレスとあのうさ耳男子もいた。


・・・そういえば、クラスメイトのこと考えてなかったけど、皆無事みたい・・・。


先生のおかげ?


そんなことを思っていると、ハルがすたすたと早歩きでこちらに向かってきた。


「・・・?」


・・・ヤな予感。


ハルは私に近づくとぽこんっと頭を殴った。


「いたっ!?」


「これをやったのはお前かぁ!誰が森一つ消していいと言ったんだ!!」


ハルはものすごい剣幕で怒鳴り散らした。


「で、でもスライムは全部倒しました・・・。」


私が半泣きで訴えると、ハルは大きなため息をついた。


「・・・これからは・・・なんていうか、一般常識を学んでいこうな。」


ハルはそう言って私の頭を撫でた。


「ほれ」


「?なんですか?これ。」


「ご褒美だ。倒したものは倒したからな。スライムで作ったスライムグミ。美味いぞ~?」


ハルはにししと笑うとクラスの皆の方へ戻っていった。


ご、ご褒美ってこれかい・・・!!



「アリーゼちゃん!大丈夫?」


私が肩を落としていると、心配したセレスが駆け寄ってきた。


「うん・・・セレスも大丈夫だった?」


「私はすぐに先生のところに戻って防御魔術の中に入れてもらったから・・・。」


セレスは俯く。


やばっ・・・!怖がらせた・・・!?


せっかくの友達がっ・・・!!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る