中学生の健と、神社に住み着く座敷わらしの恋の物語。
座敷わらしの少女は、いつもきれいな着物を着ているおしゃれさん。健のことを意識していて、照れる姿がとても可愛らしかったです。
一方、健は、彼女に会いに神社へよく通っていますが、彼女のことを意識しているのかどうなのか。穏やかな性格ながら、時折口にするドキッとする発言に、口もとが思わず緩みました。
また、神社にいるシシとコマのふたりにも注目です。後半にとある事件が起きるのですが、事態を収めるために奔走するふたりのコンビネーションは見事でした。
健と座敷わらしの恋、そしてそれを親のように見守るシシとコマ。
人と人ならざるものの交流を描いた温かな物語に、ほっこりできる作品です。
過不足のない読みやすい文章で、作品のもつ穏やかな空気にスッと入っていけました。優しくて、想像のしやすいキャラたちにもすぐに親しみがわきました。まるでアニメを観ているみたいです。
それぞれのキャラたちのもつ真っ直ぐな心に触れていると、こちらも癒されます。普段複雑に物事を見ている人ほど、ああこんなふうに純粋でいいんだ、とほっとひと息つけるのではないでしょうか。
続きが楽しみです。
超超個人的な好みの話ですが、神社や着物等についての描写が入るのが嬉しいです。
ルビや簡単な説明がそえられているのにも配慮を感じますし、時には健視点に寄り添って、あえて解説を省くのも良いなと思いました。
10/1編集
最初から最後まで楽しませていただきました。
完結おめでとうございます!