供養 聖人指定 Saint War 

赤ぬこ むぎ猫

第1話

プロローグ空が赤い……森も赤い…….地面も赤い…….どこを見ても世界は赤で染まっている。これでもかとぶちまけられたその赤で僕の服を赤く….赤く…それでいて鈍く輝いている….ふと闇夜に輝く月明かりが僕を指す。眩いばかりの月の光は森の中で彷徨う彼らを導く。彼らは僕を見つけると、その赤い目、赤く濡れた体…赤い何かを垂らしながら鈍い銀色を振りかざす。グサリと鈍い痛みが走る….痛みが体中を支配するとき、彼女は現れた。その鉄の雷を鳴らしながら彼らを一人、また一人と手にかけていく。僕はそれを見て彼女の方へ手を伸ばす。あぁ….本当に….君は……. 第一話デルフィ二ウム 日常は….壊れたらもう二度と戻らない…それ故に何気ないこの日常が愛おしいのだと。そしてこの日常がいつまでも、いつまでも続いていく、そう思っていた….世界において変わらないものなど…存在するどころか決してありえないことに….数日後、お母さまが消えてしまった。探したけれど見つからなかった。僕は一人になった。数か月前、お母さまの遺体が見つかった….そして数か月がたったある日、ドアをたたく音がした。茶色いコートと黒く光るよく磨かれた革靴を履いた鈍い金髪の男性が訪ねてきた.「あの…貴方は誰ですか?」「私は…いやその前に冬月桜さんはいないのかな?」お母さまに用があったのかな?でもお母さまは….「お母さまは……もう居ません….」「…そうか……残念だ….」「それで、貴方は誰なんでしょうか…」「君の父親…いやお父様かな。あと前に手紙を送ったんだけど….知らされていないのかい?」え?….僕のお父様なのですか?手紙?そんなものこの家に….あっ、もしかして数か月前に送られてきた、現代では滅多に見ないであろう赤い封蝋で閉じられた白い封筒の事だろうか、たしかあれはお母さまが受け取って…..あの後どうしたんだっけ?思い出せないみたい。「ごめんなさい….あの手紙はお母さまがどこかに隠したみたいで…どこにしまってあるのかは…その、わからないかもです」手紙を受け取った時のお母様の顔は何と言えばいいんだろう...ちょっと嫌な顔ってやつなのかな、そんな感じだったと思う「そうか….仕方ない、Lost and Lost」


「光が….きれい…あの、これは?」「失せ物探しの聖句だよ」「聖句?」「そう。でも聖句は一般人が唱えても意味がない、これが無いとね。」そういうと自称お父様は右手の裾をめくりChachamielと書かれた刺青?を見せる。「Chachamiel?」意味は….大天使チャチャミエルだっけ」「ほう、これが読めるということはやっぱりあるんだね、聖痕が…」「聖.....痕....」そうだ。私のはChachamielだが、この文字は人によって変わるのさ」


つづく

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供養 聖人指定 Saint War  赤ぬこ むぎ猫 @akanuko

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