世界観
俺はこの世界に来た転移者である。
これは王女も知ってるし、当然ながら呼び出した連中も知る周知の事実ってやつだ。
市井の、ましてやこの路地裏で知ってる奴は居ないけどね。
知らなくても良い事は知らない方が幸せなんだよな、と過去の自分からの経験から思う。
それに、転移したタイミングも別に学校から急に…とか、登下校中に巻き込まれて…とかでは無い。
確実に俺が肉体的死亡が確定した段階での、謂わば転生に近いものだった。
こちらの世界に送り込んだ八百万の神の代表者が優先的に俺を送り込んだ…らしい。
らしいとは、声も顔も知らずに脳にこびりついた痼りに残っていたデータ…いやイメージかな?がそう伝えてくるのだ。
で、まあ…あれこれあってこの国にスラム街、と言うかロジウラに住み着いた俺。
王女と出逢ったのもこの路地裏である。
彼女は炊き出しをしていて、試しに食べてみたら…ヤバい毒を量産していたので俺がその毒を取り除き、普通に食べられる芋鍋にしたのが出逢いのキッカケ。
美味い美味い、と王女が半分以上食べたのは内緒だ…たぶん大食いのアン⚪︎ェラより胃袋はデカい。
八百万の神の代表者は数々の権能を持っている。
それは唯一神よりも強大な物である。
だから横の繋がりで(ある意味メル友)はお願いをする格好の的になりがちだ。
立場は同列、だが力関係はそうはならない。
上の存在からも一目置かれる八百万の神は地球規模で言えば最古参の神なのだ。
だからこそ、世界線では割と丁重に扱われる。
俺を呼んだ世界の神。
この世界の神は慈愛の神として祀られている。
なぜならどんな悪人でも死ねば神の身元まで誘ってくれるから。
地獄だとかヘルゲートだとかには行かない。
つまりは…現世での悪人は悪事が発覚したら即殺が実行されがちなのだ。
神の身元に行けば更生されて生まれ変わると信じているから…実際はどうだかわからないのにね。
宗教って怖い。
だからなのか、ネクロマンサーなんてのが存在したりする。
死者の言葉を本人交えて証言出来る、数少ない存在。
「私がそうですけど…」
王女と長く関わる事になった最大の事案である(笑)。
「何が知りたいんですか?」
こともなげにそう言う王女。
「…俺をこの世界に呼び寄せた八百万の神の代表者に会わせ欲しいんだけど」
「ファっっ?」
あれ?
これは八百万の神の存在、知ってんな!
「な、な、なんで…八万様を知ってるんですかっ?」
え?八万?
これが王女との出逢いで立場を決定付けた最大の理由。
「お前、何知ってんだ?答えろ。事と次第によっちゃ…」
「な、何するんです?」
「炊き出しを毒にした事、拡散する」
「や、やめてくださいィィィィィィ」
ズサササァァァァァァァ!
なんかジャンピング土下座された…そんな文化あるのね。
立場が決定した瞬間であった。
ロジウラの英雄 火猫 @kiraralove
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ロジウラの英雄の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます