Earth Rhagades〜機械同士の戦争〜

Leiren Storathijs

Prologue.1

「正面前方、十五メートル先。機械生命線の駐屯地と敵機の三体を発見。タイプは全てα型。」


 そこはたった一度の大災害で、人類とあらゆる文明が、ほんの僅かを残して滅亡した地球の成れの果て。

 ビルや建物が一つも建っていない。まっさらな緑色の大地が無限に広がる殺風景な荒野。


 その荒野にぽつんと一つ。兵士が滞在する小さな駐屯地が設置されている。

 その駐屯地にいるのは、三体のアサルトライフルを装備した機械生命体。

 タイプは人型。頭部が大きな一眼レフのような丸いカメラレンズだけで作られており、首から下の胴体は腕が二本、足が二本付いた機械仕掛けの人間と酷似した形。


 その駐屯地に対するは、近辺に佇む小さな岩陰に隠れる一体のアンドロイド。

 アンドロイドも人型で、機械生命体と違って、身体に隙間の無い鉄のプレートで全身を包み、人間のような皮膚がないだけに、遠目で見れば人間と酷似した形となっている。


 して、アンドロイドは機械生命体を破壊するために、頭部に付けられた通信システムを使ってに報告していた。

 その報告に本部が返答。命令を下す。


『分かった。機械生命体を破壊しろ』


「了解。機械生命体の破壊を開始する」


 そう報告し終えると、最初に動いたのはアンドロイド。

 強く地面を蹴り、岩陰から身体を出すと、そのまま三体の機械生命体へ、腰に備えた鞘から刀を引き抜く。


 その最初の突進に当然気がつくのは機械生命体。機械生命体はアンドロイドを発見すると、すぐさま全ての機体に情報を伝えながら、走って突進を仕掛けてくるアンドロイドに対して即発砲する。


「あんどろいどヲ発見! 相手ハ一体ダ! 殺セ!!」


 三体の機械生命体を放つはアサルトライフル三丁による弾幕攻撃。

 最早それは制圧射撃と言っても良いほどに厚く。機械生命体にとっては、これほどに銃撃があれば、アンドロイド一体では対処し切れないだろうと考える。


 しかしアンドロイドはそう脆くは作られておらず。アンドロイドは機械生命体が放つ全ての弾幕に対して、全弾丸の軌道を読み、自身に被弾するであろう弾丸のみを確実に刀で弾いていく。


 この時、アンドロイドの視界には、全ての弾幕はスローモーションのように見えており、何も焦ることなく落ち着いて弾丸を弾いていく。

 そして、刀の間合いが機械生命体の機体に届いた瞬間。


「一体の破壊を完了」


 銃弾を弾きながら、流れ作業のように並ぶ三体の内、真ん中一体の機械生命体の首を一撃で斬り落とす。

 そこから次にもう一体。機械生命体はすぐさまアンドロイドを左右両面から挟むように銃口を向けるが、そこから弾丸が発射される前に、刀は二体目の機械生命体を股下から頭頂部目掛けて、一刀両断する。


「……!?」


「全ての機械生命体の破壊に成功」


 最後の機械生命体は、二体目が破壊された直後に弾丸を発射するが、絶対当たるであろう距離でも、身体を捻らせて弾丸を回避したアンドロイドは振り向き様に、斬り上げた刀で、頭から股下まで三体目の機械生命体を両断する。


 これは一瞬の出来事であった。

 頭部を落とされた者は、メインカメラ消失によりアンドロイドを視認出来なくなり攻撃が停止し。

 身体を両断された者は、動力源の損傷で機能を停止する。


 その一部始終をアンドロイドのリアルタイムな報告を聞いていた本部は、帰還の命令を下す。


「よくやった。帰還しろ」


「了解」


 帰還の命令を受けたアンドロイドは、頭部を破壊した機械生命体へ最後に止めを刺してから、本部へ帰還した。

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