夢の君、現実の僕
ロウ
会いたい、ただそれだけ
彼女と出会ったのは高校生の頃、あの頃の彼女はいつも楽しそうに笑っていた。
僕はそれをただ見ているそれだけで良かった。
あるとき、彼女が僕に話しかけてきた
最初は驚いて口をパクパクしながら顔を真っ赤にしていると彼女がそれを見て笑った。
そこまで驚かなくてもいいじゃん!そう言いながら僕の背中をバシッバシッと叩きながら笑う。
それに痛いよと言うとごめん、ごめんと彼女は謝り僕に色々と質問してきた。
そのときは嬉しくてしょうがなくてついつい興奮して早口になってしまった。
そんなことを彼女は気にせず、ましては途中からは僕の一方的な話をうんうんと頷きながら聞いてくれた。
これがきっかけで僕は彼女とどんどん親しくなっていた。
そして高3の冬、彼女に好きだと告げた。
恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしていると不意に唇に柔らかい何かが触れた。
それが彼女の唇だと分かると一瞬、頭が真っ白になった。
そんな僕のことを気にせずに彼女は私も!と答え僕に抱きついてきた。
これは僕の人生の中で初めて経験した奇跡とも言える出来事である。
その後あっという間に高校と大学を卒業したあと彼女とは同棲した。
彼女との毎日は楽しいものでたまに喧嘩もするけどいつの間にかお互い喧嘩の内容も忘れて仲直りをするため笑い話ともなる。
そう毎日が充実して彼女との日常はかけがえのないものだった。
そんな彼女がある日、消えた。
なんでかはわからないけど、僕は無我夢中で彼女を探した。
思い当たるところくまなく探した。
警察にももちろん行った。
けど見つからない。
なぜだ、なぜ彼女は僕の前から姿を消した?
あんな幸せな毎日だったのに
会いたい、彼女に会いたいただそれだけなのに
彼女がいなくなってから僕はゴミのような生活をしていた。
家は荒れ果て僕自身もやつれていった。
体は痩せ細り生きてるのがやっとのくらいで限界が近づいていた。
ある日、ついに倒れた。
もう死ぬのではないかと彼女に会えぬまま…いやもういいんだ。
彼女がどこかで幸せに生きてるなら僕はそれでいい
ほろりと涙が頬に流れ覚悟を決めた瞬間、彼女の声が聞こえた。
「あなたはここにいてはいけない」
そう聞こえた。
顔は見えないが声で彼女だと分かった。
だがなぜそんなことを言うのか全く理解できない。
僕は力を振り絞って「君がいるなら僕はここにいる」と言いのけた。
彼女はそれを聞いて微笑み、「私は貴方に愛されて良かった。」と言った。
僕はその言葉を聞き安心して意識を失った。
目が覚めると病院にいた。
高校に入る直前に僕は事故にあったらしい。
10年間一度も目覚めぬままだったらしい。
僕はさっきまで危険な状態だったが急激に回復したらしい
医者も奇跡だと言う
両親も喜んでいる。
でも僕は悲しい。
今まで僕は夢を見ていた。
あれは現実ではない夢の中で起こった事故に合わなかったら迎えた僕の人生である。
でも彼女は?
彼女は生きていた
夢の中でも確かに生きていた
温もりも感じた。
でも彼女はいない。
それでもいるんだ。
この世界のどこかに彼女は。
僕を救ってくれた彼女は今どこにいるのかわからないが探そう。
たとえ夢でも彼女を愛してしまったのだから
僕はそう決心をして「 、会いに行くから」とここにいない彼女に告げた。
夢の君、現実の僕 ロウ @shihorou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます