最終話 「下山」


 望天は目的地まで到達した。

 見事に下山を果たした。

 すると、突然望天が苦しみだし、取り込んでいた龍玉を吐き出した。

 龍玉は地面に落下し、砕けた。


「あー! 龍玉壊れた!?」


「おやおや」


「あい!?」


 嫦娥に怒られると思い、焦って破片を集める望天。

 だが、嫦娥は落ち着いた様子で喋る。


「そりゃ山全体から霊力を集めるなんて無茶させれば壊れますよ」


「そんな……あたしらの龍玉……」


「ボウちゃんが龍玉の力に耐えられるってわかりましたし、降龍一匹殺せたのはいい収穫でしたね。ボウちゃん、早く戻ってきなさい」


「あ、あい。……」


 望天は鬼の三侠へ振り返る。

 嫦娥が何も言わないのなら、彼らを連れ帰る必要はないということだ。嫦娥なりの御褒美なのだろう、と望天は判断した。

 吸魂から鬼の三侠を解放した。


「――あい。ばいばい」


 キョンシーは鬼の三侠に手を振り、音もなく転移陣へ飛び込んだ。


「仕方ない。あたしらも付いて行ってやるよ。……望天?」


             ――――


「お帰りなさい、ボウちゃん」


 嫦娥が望天を出迎える。


「あい。ただいま」


「……頭のソレ、連れて来たんですか?」


「あい?」


 望天が見上げると、羅刹鳥らせつちょうが付いてきていた。


「我等は伴侶だ。離れる道理がない」


「……嫁?」


「ホント、とんだ押しかけ女房ですねぇ。まあ、いいですよぉ。じゃ、天への嫌がらせは成功しましたし。次の計画のために調整しましょうか。吸魂した魂はそいつ以外、全部消化して霊力に変えちゃいましょうね」


「あい」


「封印が解けてるっぽいですから、掛け直しですねぇ」


 これにて、嫦娥と望天による龍玉強奪計画は幕引きとなる。

 これは彼女らの善からぬ計画の一歩目である。

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「ソウルローグス」 桃山ほんま @82ki-aguri

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