第44話 山ノ内町(地獄谷野猿公苑など)

 猿の温泉、地獄谷野猿公苑じごくだにやえんこうえんで有名な、山ノ内町。


 冬でないと、野猿公苑は温泉に猿が入ってなくて淋しい思いをし、手に何かを持っていると猿に襲われる可能性がある、野生の猿と出会える危険で貴重な温泉。川のほとりに位置し、入場料八百円、近場の駐車場は五百円の(遠い駐車場は無料とのこと)やはり観光地だなぁ、と納得する場所。私は小学生の頃に遠足で足を運んだが、猿好きでもないので、とくに感動をしなかった興味の無いスポット(普通にうさぎとかのほうが可愛い)。だけど、オーストラリアなどの外国人には、非常に人気で(野生で温泉だから?)、途中まで行くことの出来る湯田中行きの電車では、時々乗り込む外国人を見たし、その日本一高い電車(距離に対して料金が高い)として有名な、長野電鉄の電車の車体にもでかでかと冬の猿の写真を付けたスノーモンキー号なるものもあり(日本一の料金は、ここと上田市の別所線でよく争っている)、スキー人口も減り、冬の産業が縮小ぎみでなんとかして観光客を誘致し、盛り上げていこうという地元の熱い期待が冬の猿たちの存在にかかっているので、信州人としては、実は下手なことはあまり言えない(今、書いたけどね)。


 山ノ内町温泉郷、湯田中・渋温泉ゆだなかしぶおんせん、湯田中は漢字のとおりに、温泉が田んぼの中に沸いたもので、渋温泉は、お坊さんが全国行脚の折りに発見されたありがたい温泉だそうです。ここは、地獄谷野猿公苑に行く手前にあり、狭い場所に旅館がひしめいている。湯田中では、よろずや旅館という火事になった旅館に一度宿泊し、有名な桃山風呂と庭園露天風呂を楽しんだが(庭園露天風呂は、庭にある池が露天風呂になっている)、細かなところで、天井近くとか、何かガラスの向こうだったか、片付けていない感じの物とかの存在が見えたのと(なんだかわからないが)、庭園露天風呂の温泉の端には何か植物系のゴミらしき物があったりと、せっかく一番楽しみにしていた風呂だが、十分にくつろげなかった。ここは、料理も特筆すべきことは無く、まぁ、普通。行かなければ、いつまでも風呂が気になっていたと思うので行って良かったが、私は、別所の七草の湯のほうが基本的なアメニティをはじめ、お菓子なども良かったので、ここは、行ってがっかりした旅館の一つである。


 渋温泉には金具屋という旅館があり。千と千尋の神隠しのモデルになったということだが、エレベーターが無く、連れが嫌がるので一度も行ったことが無い。せめて、下の階を選択出来ればよいのだが、客には選択出来ないらしく、宿泊を断念した。ただ、一度は泊まってみたいと言う方もいると思うので、一応、ご紹介(二名から宿泊可能、一人泊は駄目なようだ)。ちなみに、名物であり有名な近くにある小古井菓子店には、特徴的なうずまきパンがある。ぐるぐるとパンの上に黄色のクリームで渦を巻くように黄色い線引きがされ、中にはマーガリンが溶けた生地があるが、今の塩バターパンに比べるとかなりチープな味わい(安っぽい)、個人的に好き嫌いがあるだろうなと思っている。


 山ノ内町には、道の駅がある。名前は北信州やまのうち、りんごの時期にはりんごがたくさん並び(山は坂なのでりんごの質は良いと思う)、直売所のわりと小さめなスペースは、他にぶどうや野菜などが並んでいるが、お客さんの目当てはだいたいりんごの季節にはりんごのようで、旅行ついでと思われる人々がたくさんいる人気のある直売所だ。値段は、やや安く良心的で、例外は、根曲がり竹を二センチぐらいに切った瓶詰めの水煮で、一瓶二千円と高額である。水煮にする手間や瓶代を考えると普通かもしれないが、観光客相手にはよく売れるのだろうと思った(名物として)。この直売所には、そば屋も併設されており、土日祝のみ須賀川すがかわそばという、飯山の富倉そばと同じように、オヤマボクチという山ごぼうの葉の繊維を練り込んだそばが食べられるが、須賀川という地域は、この直売所から中野市の方に戻り、国道が山ノ内に入る手前に二又ふたまたに別れる道を北側に入ったかなり遠い場所で、竜王スキーパークや北志賀小丸山スキー場の方面に向かって行く。かなり走ると坂道や山道があり、道の西側に小丸山スキー場の看板があるのでそのまま走ると、その次に岩本そば屋三百五十メートルという茶色の看板があるので、そこを東側に入り、竜王という看板が途中であるが無視して住宅街に向かうと、すぐに須賀川そばで一番有名な岩本そば屋がある。ここのそば屋は、芸能人も来るそば屋で完全な民家だが、店内には(普通の部屋)「困ってます義援物資で嫁欲しい」などと達筆な面白い川柳せんりゅう(世俗的な作品で、風刺ふうしなど)が書かれた紙が飾ってあったりと壁全体に写真やしょが書かれた物があり、わりとごちゃごちゃした雑多な遊び心のある雰囲気だ。そばは、山ごぼうの繊維がかなり入っているらしく、シャクシャクとした歯ごたえと(細くはないので、噛むとキュッと歯に吸い付く感じ、サクサクでは無い)、長くて(食べにくい)、そばが瑞々しく(繊維が水分を吸収している?)、長野にしては、量が少ないそばは(たくさん食べる方は三百円多くなるが、大盛りにしたほうが良い(並盛九百円))、連れに固いと不満を言われて(私は気に入ったが)、私にとっては幻のそばとなった(残念)。そばの他に地元名物、北沢豆腐のやっこ四百円や(鰹節、みょうが、大葉が載っており、十センチ、八センチぐらいの大きさ、まぁまぁのお味)、はやそば四百円という、大根の千切りを茹でたところに溶いたそばを入れ手早くかき混ぜ、出汁入りの薄めのタレに入れて、サッと食べる物などもあり(長野県無形民俗文化財。私は大根の千切りを茹でた物を食べる気分ではなかったので食べなかったが、人気らしい)、オヤマボクチの須賀川そばが食べたいのなら、この店はおすすめかもしれないが、そばに特徴があるので(長い、やや固い)、人を選ぶのかもしれない。


 そば屋を出て、道を戻り竜王の看板を見ながら曲がって、北に坂道を走ってしばらくしてさぐるぐるとホテル群を抜けると竜王マウンテンリゾートにあるソラテラスにたどり着くことが出来る。雲海は雨上がりの翌日の早朝が良いらしく、私は晴れた昼間に行ったので雲海は見れなかった。ロープウェイは大人一人往復二千四百円。片道十数分間ぐらいの旅だが、かなりの高さがあるので高所恐怖症の方はご注意を、ゴンドラが到着した場所の上にあるソラテラスのカフェの入り口にはハンモックやガーデンテーブル的なものが設置され、店内にはカフェとセルフサービスのレストラン的なものがあり、人気があるという雲海パイ包みスープ九百円を頼んだが(レストランでは、水は紙コップで無料。もちろんセルフサービスだが)、カップの上のパイはまぁまぁで(多分、冷凍食品)、付け合わせのレタスとトマトのサラダ、三枚付いたトルティーヤチップスも悪くは無いが、いかんせん肝心のスープが、市販品のシチューのルーを水分多めで作った物と同じレベルで、せめて牛乳、出来れば生クリームを使用して欲しかった(家でクリームシチューを作ったほうがおいしい)。小さな鳥肉も入っていたが、基本的に不味く、値段に見合ってない気がした(知らずに頼むとびっくりすると思う)。安っぽい味なのは、人件費と材料の輸送費がかかったのでコストが掛かりすぎたのだろうと思うことにした(仕方がない)。


 風邪をひいた。


 今回頭がガンガンするような風邪になった。食欲はある。コンビニのおでんと、明治のチェルシーバタースカッチの小さな箱入りのが欲しい(チェルシーは、ヴェルタースとはちょっと違うマイルドな甘さがある。ヴェルタースは生クリーム入り、チェルシーは生クリーム無しでバターやや強め、植物油脂入り)。昔、家族から聞いた内科の女医さんの話では、温かなスープが栄養価も高く、消化もしやすいので、風邪をひいたらこうした食事を取るようにとのことだったが、まぁ、今はレンジでチンする一食分のスープもあるので、その助言を実行するのは簡単である。問題は、車を運転して買いに行かなくてはならないのだが、体調が悪い。しかし、行かねばならない、しぶしぶツルヤに行ってチェルシーとスープ、飯山産の新米コシヒカリが広告の品として以前の金額で販売されていたので購入し、コンビニに行くとローソンと明治でコラボしたチェルシーの餅が販売されていたのでこれをかごに入れ(香料がきつい? よく考えられているようだが、いまいちの味)、なかなかおいしいマッシュルーム入りのちょっとお高いレンチンするだけのシチューもスープの一種として、一応購入し(ローソンと中村屋のコラボ)、私の行ったローソンにはちょうどおでんがなかったので、セブンイレブンに行ったら、狙っていた大根と白滝が一つずつしかなかったので(家族の為にはこちらを購入したが)、私の分は、玉子、ウインナー巻きとはんぺんの三種のおでんとした(仕方がないが、家族は大根と白滝、こんにゃくでないと食べない)。


 最近、出版社のノルマかもしれないが、あまり面白いと思えない作品も続々と書籍化され、ネット作品でも一定のレベルで売れるからどんどんと販売されるのだが、書店に行っても全体的に興味の持てる本が無く、作品のクオリティが低い気がする。ちなみに、新たにお気に入りとなった、なろうの恋愛の作品は、十万字を越え、まだランキング上位であるが(ベースの世界観がしっかりしていて、根拠のある説明が嬉しい)、不穏な描写と(フラグ)、暗い展開に差し掛かり、ご丁寧にも、あとがき? で「これから暗い展開になります」と告知されているが(親切)、今現在メンタルが弱っている私には乗り越えられるのかという不安が実際にはある(内容によっては、この作品から離れることも……)。確かに小説は山有り谷有りが望ましいが、最近の作品では、ハードなものも多く、私の地雷としては、過度ないじめをはじめ、暴力をふるわれる奴隷や、奴隷狩り、小説への登場回数の多い子供の死亡案件などがある。有名な作品である小野不由美先生の十二国記での主人公の娼館への人身売買は未遂だったので、かろうじてオーケーだが、なろうでよくある婚約破棄からの娼館行きや、異世界人として能力が無い、もしくは騙されての娼館行きなどは完全に私にとってはNG案件であり、一気に読む気が失せてしまう。奴隷でも、いつでも逃げ出すことの出来るものなどは、大丈夫だし、あまり無理矢理でなく、すぐに助けられて良い主人に恵まれるといったものなら、なんとか読めるが(男性向けハーレムによくある展開)、そうでないなら鬱展開として仕方がないが、シャットアウトしてしまう(この作品がそうはならないことを期待したい)。


 これから少子化になるし、売れ行きの良い小説が不足になるかもしれないのに、こんなわがままでは読者として購入への貢献が出来ない、ささいなことだが、いずれ出版業界が斜陽化になった折りには読む本が無くなることを理解しているのだが、駄目なものは、駄目なのでいかんともしがたいと思う。願わくば池波正太郎先生の鬼平犯科帳や梅安のようなシリーズもののような新作の面白い作品を本で読みたいなぁ……私に時代ものは無理か……。

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私が小説を書いて考えたことと、あとは観光など 沼田 章子 @numata

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