アビリティガイ
@taigasensei
第1話
クリスマスも終わり、新年まで残り数日というときに事件は起きた。その日の夜は肌寒い冬の日だった。とある都心の住宅街で男性が殺されたという通報があった。死因は頭を爆発されたことによる爆死だという。このニュースはたちまち日本中を騒がせた。
「じゃあ行ってくるよ。」
「気を付けてね、犯人まだ捕まってないらしいし」
「大丈夫だって。東京の都心から大阪までわざわざ来ないって。」
そういって一人の少年が家から出た。彼の名前は月野天音で母の名前は月野望。母子家庭ではあるが普通に幸せに暮らしている。天音も学校生活を楽しんでいて、クラスのマドンナ的存在である朝川美優に告白するために今年から夜に一周数キロの町内を走ることを日課にしていた。その日も天音は15分ほどで町内を走っていた。
「ただいまー。」
家に帰っても返事がなかったのでもう寝てしまったのかと思いながらリビングに入った。するとそこには望と知らない男が床に横たわっていた。
「お母さん!」
急いで駆け寄ったがもう息はなかった。天音はすぐに救急車を呼んだ。母は胸から大量に血を出していたのに対して男には目立った外傷はなく何で死んだのか見た目ではわからなかった。天音にできることは何もなく救急車に運ばれていく母を見ることしかできなかった。
「君のお母さんの死因は胸からの出血による失血死だね。」
天音はこの事件の翌日、母に会うために病院を訪れていた。医師から死因を聞いたときもう何も考えられなくなっていた。この何とも言えない虚無感をもって天音は病院を後にした。今住んでいる家は捜査のため住める状態ではなかったのでしばらくの間近くのアパートに引っ越すこととなった。母の私物は鑑定済みだったため引っ越し先に持っていくことにした。天音には親族がだれもいなかった。母という唯一の血縁者を失い天音は虚無の日々をった。そしてあっという間に新年になった。
テレビでは正月の特番で番組表が埋まっていた。天音にはもちろんそれらの放送を観る気はなくただボーっと一日を過ごそうとしていた。そんな矢先、部屋のインターホンが鳴った。玄関にはインターホン越しでもわかるほど長身の見知らぬ男が立っていた。
「どなたですか」
「君の母親の兄です。はじめましてー、家にいれてもらえませんかー」
この男はそれで家に入れると思っているのだろうか。玄関ドアで立って待っている。天音もさすがに怪しさMAXの男を家に入れるほど馬鹿ではない。天音は新手の詐欺だと思い追い返そうとした。
「家に母はいませんし、自分以外の肉親もいません。帰ってください」
すると男はとんでもないことを言い出した。
「君の母親が死んでることは知ってるよ。名前は月野望、三十歳。もちろん君のことも知ってるよ、天音くん」
この男の言っていることが正しかったので天音は怖くなってスマホで警察に通報しようと思った。すると玄関のドアが開き男が家の中に入ってきた。天音は椅子を持って男がリビングの扉を開ける瞬間を狙った。何も知らない男はドアを開け天音は椅子で男の頭をたたいたが男は無傷だった。
「ちょっと痛かったなー」
そういって殴られたところをすりすりとしていた。天音はパニックになってもうとにかくその男に殴りかかっていた。すると男はため息をついて
「一回落ち着けや!」
といって天音に思いっきり平手打ちをした。天音もこの平手打ちを食らってなんとか冷静さを取り戻した。
「落ち着いたか」
「はい…」
「いきなり家に入ってきたおれが悪いんだけどな。こうでもしないと話を聞いてもらえないと思ってな。先に言うと俺の名前は杉野蓮で能力者で能力は変幻自在、なんにでもなれる。ドアは指をカギの形にして入って、頭は高質化させて守った」
いきなりとんでもないことを言ってきて天音は混乱していた。
「まあ、とりあえず聞いててくれ。あとでちゃんと質問には答えたるから。望も同じように能力者で毒使いだった。あいつはかつてある研究機関の研究対象の一人だった。ほんの三十年前に各地で三十人ものこどもが誘拐される事件が起きてな。その時誘拐された子の一人が望だった。ある日誘拐されたこどもは全員死んだというニュースが流れたとき、家族で泣いたよ。そのショックで母は寝たきりになってもとが病弱だったからすぐ死んで親父はそっから酒に逃げる日々でそっから体を壊して死んだ。おれもそんな時期があったけどまだ妹が生きてるかもしれないと思ってなんとか精神を落ち着かせることができた。ある日、実家に段ボールが届いて開けてみるとそれは望からのものだった。中にはお前との写真と今の家の住所、そして手紙と血が入った液体のビンが入ってあった。最初見たときは驚いて警察に連絡しようと思ったんだけど先に手紙を読んでみることにしたんだ。するとそこには研究についてのことがぎっしり書き記されてたんだ。そして君のお父さんに関することも書かれてた」
「おれの父親も誘拐されたこどもの一人だったんですね」
「まず結論から言うと研究の内容は人間の脳の使用率をあげることで一歩先のステージへ進むというものだった。結果としてその研究は成功した。だが生き残ったのはたったの五人だった。そのうちの二人が望と君の父親である晴也だ。そして全員が十六歳になったとき五人で研究所を脱走しようと試みたらしい。そして、結構当日、研究所内で火事を起こして脱出するという計画をたてたが、その計画自体がばれてしまったが、望の毒で研究員たちを麻痺させて、なんとか全員脱出することができたんだ。その時、晴也の能力で中にいた研究員たち事、研究所を潰したらしい。だが、研究員の一人である梶原のみが生き残り晴也を銃で撃ったらしい。梶原から逃げることはできたものの撃たれたところが悪くそのまま死んでしまった。その後四人は彼を山に埋めて四人でしばらく暮らしてたんだ。すると望の身体に異変が起きた。なんと妊娠をしていたんだ。そこで三人は東京付近から大阪のほうに引っ越さないか君を生んだ望に提案したんだ」
「なんで大阪だったんですか」
「望が大阪で暮らしたかったらしい。研究所にいたころからずっとそれが夢だったと。金銭的にも望一人で行くことのなったらしいけどな。手紙の内容はこんな感じだ。なにか聞きたいことはあるか」
「いや、まだ血の入った瓶について聞いてないんですけど…」
「あ、すまん、忘れてた。能力者になるには脳の使用率をあげる以外に能力者の血を飲めば自分も能力者になれるんだよ。なんの能力になるかはその時にならんとわからんらしい。まあ興味本位で飲んだらマジで能力者になれると思わなかったけどな」
大きくガハハと笑う蓮に天音は呆れ顔で
「それ笑えるようなことじゃないですよ」
正直信じられないような話だったがいまそれが目の前で起きている現実だったので天音は信じるほかなかった。
「それでここからは俺の予想になるんだが、望が何者かに殺されたということは考えすぎかもしれないがまだ梶原以外の研究者がいるのかもしれない。だから俺も荷物をまとめてこっちに引っ越そうかなと思うんだがどうだろう」
「ちょっと考えさせてください」
蓮は天音と電話番号だけ紙に書いて実家に帰った。天音は正直迷っていた。母にまさか兄がいたとは思わず母が亡くなった今、唯一の血縁者である蓮と暮らせるのはうれしいことでもあった。しかし、人ではあるが人ではないそんな危険因子と暮らして大丈夫なのかという不安があった。そして今母と行動を共にしていた三人の友人は今何をしているのかも気になっていた。その日一晩考え続け、次の日の朝に結論を出した。蓮と暮らそう、そして少しでも友人の手がかりを見つけていつか会いに行こうと。そう決めた瞬間すぐに天音は蓮に電話した。
冬休みも終わりアパートでも暮らしにも慣れてきたころだった。警察からは家に帰ってもいいとの許可をもらったがやはり母が死んだ場所には住みずらかったのでそのままアパートで蓮と暮らすことにした。連も実家を売り荷物をすべてアパートに運んでいた。
「今日から登校だったか。気を付けていってきなよ」
「蓮さんも仕事、気を付けていってきてくださいね。じゃ、行ってきます」
冬休みの出来事があったこともあり、クラスメートと会えなかったのでその日はいつもより早めに学校に行きたくなった。
教室につくともうすでに一人の人影があった。それは天音の思い人である朝川美優だった。
「あ、月野くん、おはよう。あ、あけましておめでとうございます、今年もよろしくね」
「あ、朝川さん。あけましておめでとう。今年もよろしく…」
目の前に好きな人がいて天音はまともに目を見て話すことができなかった。
「いつもこんなに朝早くにきてるの?」
「いや、久しぶりの登校でなんだかみんなと早く会いたいなって。朝川さんは…」
「私もおんなじ感じだよ。ねえ、冬休み何やってたの?初詣とか行った?私まだなんだよね」
母親が死んだというわけにもいかずおじが引っ越してきて、いろいろしてたと言った。その後クラスに人がどんどん集まりみんな冬休みの話で盛り上がっていた。朝礼とともに先生が教室に入ってきた。
「みんなおはよう、着席しろー」
先生の声が教室中に響きみんな自分の席に戻っていった。
「初日は授業がないからって休みの時みたいに帰ってゴロゴロせずちゃんと勉強しろよ。残り三か月、頑張っていこう」
こうして登校初日の学校は終わった。
連が帰ってくるまで天音は三人がいまどこにいるのか調べようとした。母の遺品の中になにか探す手がかりがないか漁っていた。すると母がよく愛用していた手帳に一枚の写真と地図が入っていた。写真には母を含めた四人の人物が写っていた。一人はツインテールの女性、坊主の男性とフードを被った男性に今と変わらないショートヘアの母だった。ひとまず元の場所に戻して天音は夕飯の準備をした。
「ただいまー、うーん、みそ汁のいい匂い」
「すぐ食べましょう、早く手、洗ってください」
二人でしゃべりながらゆっくりと夕飯を食べていた。
「今日もやるか」
「お願いします」
二人は食べ終わるとそれぞれ動ける服に着替えた。天音はあいかわらず町内を走り回っていて蓮に自転車でついてきてもらっていた。
「ファイトー!あともう少しー」
冬休みの間走ってなかった分を取り戻そうと蓮が引っ越してきてから一周を二週に増やしていた。
「前よりペース上がったんじゃない。いい感じじゃん」
自分でもそう感じていたので蓮に言われてさらに自分の体力に少し自信がついた。
家に帰ってきて天音は蓮に次の休みに東京に行きたいといった。連は東京に行くのはOKしてくれたが二月まで待ってほしいといわれた。一月は仕事の関係でなかなか時間が取れないらしい。なので二月までは母の遺品を整理することにした。
一月が終わろうとしたころに学校で一つのうわさが広まった。一人の先生が生徒に暴行を加えたというものだった。これが事件の始まりだった。二月二日にいきなりその先生が学校にやってきた。その先生が担当していたクラスではそのことにみんな驚き朝礼までその話で教室は騒がしかった。朝礼の時間になりチャイムとともに放送が始まった。その放送は全校生徒に向けられたものだった。
「みなさん、おはようございます。きみたち生徒に暴行したと勝手に噂されました、生物担当の花山です。警察のお世話になり、先生は先生としての人生が危うくなりました。そんな時、救世主が現れたんです。私はその方に頼みました、私の無罪を証明してほしいと。そして私は見事釈放され、こうして戻ってくることができました。さらに、あの方は私に力を授けてくれました。そして言いました、その力で日本を、世界を動かそうと。あなたたちいはその礎になってもらいたい」
その放送とともに植物の根が学校に絡まり校舎の屋上から一本の木が生えた。
この出来事に教室内はパニックになっていた。しかし、天音は花山が能力者だとわかり、今できることを考えていた。
「みんな落ち着け!先生は放送室を見てくるから全員ここから出るんじゃないぞ!」
そういって先生は走って放送室に向かっていった。
「おい、これからどうなるんだよ」
「一生ここから出れないんじゃ」
「携帯はつながらないのか」
「それがなぜかつながらなくて」
「どうすればいいんだよ!」
教室内はまた騒がしくなっていった。
「みんな落ち着こうよ!先生たちが花山先生を説得して助けを呼んでくれるのを待と!」
クラス内を朝川が静めた。天音もその姿を見てやっぱり朝川さんはすごいなとまた一段と彼女に好意を寄せた。
この事件のニュースはたちまち全国に報道された。
「ねえ、ここ大阪じゃない?」
「うわ、マジじゃん、これいったほうがいいかね」
「金…ない…」
「いや、なんとかしていかないと!望が危ないかもしれない」
この三人こそがかつて晴也と望とともに県境所から脱出した者たちである。
「あんたの能力ワープでしょ、さっさといかないと」
「待てって、ここが大阪のどこなのかわからんと飛べないよ」
「役立たず…」
「ああ⁉なんか言ったか!」
「いや、なんも…」
「あんたたち、口を動かす前に行動しなさいよ。言い合いなんかしてる暇ないわよ」
三人はどう行くか頭を抱えていた。
天音はなんとか学校の外に行く方法を考えていた。蓮に連絡さえできたら何とかなると思ったからだ。しかし外に出ようにも根が邪魔でどうすることもできなかった。
「なに考えてるの」
朝川の声に少し驚いたが天音はすぐに考えを話した。
「学校の外かー。この根っこさえなかったらいいのにね」
「うん、この根を切るほど大きなのこぎりがあるわけじゃないし、燃やしたら校舎に火がうつって危ないし」
「屋上に行けたらいいんだけどね」
「それには放送室を通らないと」
そもそも放送室に行ったはずの先生が帰ってきていなかった。天音はなんだか嫌な予感がした。
「朝川さん、おれちょっとトイレに行ってくるよ」
「わかった、気を付けてね」
そして天音は放送室へ急いだ。そこには干からびた人の山があった。その中には自分の担任の先生もいた。
「また誰か来たのか」
放送室内から出てきたのは体中から木の根を出している花山の姿があった。
「あんたがやったのか」
「他に誰がいるんだよ」
「こんなことやって許されると思ってるのか」
「許す、許さないじゃない、あの方のためだ。どんな犠牲も致し方ないことなのさ」
「人の命を奪うことが致し方ないことだって言いたいのか。そんなの絶対に間違っている」
「凡人にはわからないのさ、あの方の偉大さが。この世界をすべてひっくり返す力をあの方は持っている。だから私はあの方についていくんだ」
「さっきからあの方あの方、あの方って誰なんだよ」
「名前などいらない、名前はただの価値を決める基準にしかならないのだ。あの方に名前という概念は必要ないほどに高い価値を持っているのだよ」
「つまりあの方は名前などいらないほど無価値というわけだな」
「お前は殺す」
そういって花山は体中の根をとげのように伸ばした。天音は避けようとしたが肩を貫きそのまま床にたたきつけられた。骨が折れる音が体中に響いた。天音は身動き一つ取ることができなかった。
「じわじわと殺してやるよ、ほかのやつらみたいにな」
そのとき、一人の女の声が廊下に響き渡った。声の方向を見てみるとそこには朝川が立っていた。
「誰だお前」
「朝川さん、逃げて…」
天音はもう声を張り上げることもできなかった。
「月野くんから離れてください。じゃないとこのガラスを投げます」
そういって朝川は床に落ちていたガラスの破片を拾った。
「お前ら、知り合いか。気が変わった」
「おい、やめろ…」
天音に向いていた根は朝川のほうを向き、再びとげのように伸ばした。その瞬間、校舎全体がいきなり傾いた。そのおかげで根は朝川に当たることはなかった。
「今度は誰だよ!」
花山がそういうと上の天井が崩れ落ちて覆面をあの三人が落ちてきた。
「乱暴すぎだろ!もっと優しく降りてくれよ」
「はー?黙れ坊主!わたしのおかげで勢いを殺せたんでしょうが!」
「二人とも…前…」
「お前らいったい何者だ!なぜこう立て続けに私を怒らせる出来事が起きる!」
「私たちか?私たちはお前の悪事を終わらせに来たものだ」
そういって女の人は手元に一本の刀をどこからか取り出した。
天音が放送室に向かっていたころ、坊主頭の男は必死にその地形を覚えて、あとの二人は覆面を被っていた。
「よし、行ける!」
「本当に覚えたの?」
「不安…」
「お前ら俺を何だと思ってんだ。へまなんかしねーよ、ほら、全員俺につかまれ」
坊主頭も覆面を被り三人は見事学校…のちょうど真上の空にワープした。
「ちょっと!失敗してるじゃない!これどうするのよ!」
坊主頭は女に頼んだ。
「頼む!お前の能力で何とかしてくれ!」
「あー!もうわかったわよ!やればいいんでしょ!」
すると女は空中に無数の剣を自由自在に操り、着地の瞬間、その無数の剣で地面を切り衝撃を緩和しようとしたが案の定学校の屋上がそんな衝撃に耐えられるはずもなくそのまま崩れてしまった。そして今に至る。
「君…大丈夫…」
フードを被った男は天音の身体を完全に治した。
「あなたたちは母の望の友人ですか」
「えっ、もしかしてあなたあの時の赤ちゃん⁉」
女の人が花山と戦いながらこちらの話を聞いて驚いていた。なんとも器用なことだ。
「ちょっとあとで聞きたいことあるから待っててね」
「集中…」
女の人に夢中になってて坊主頭の人がいつの間にかいなくなっていた。と思ったらすぐ目の前に現れた。
「全員、外に避難したぞ。やっぱり実際に見るほうが覚えやすいわ。あとは俺たちだけだからぶっ放していいぞ」
「了解!」
「さあ、行こう!」
そして坊主頭はフードの男と天音を外に避難させた。
「あの人ひとりで大丈夫なんですか」
「まあ見ときなよ、少年」
すると校舎の周りに無数の剣が現れた。
「不干渉の剣っておれらは呼んでて、その名の通りあいつが狙ったもの以外には全く干渉しないんだ」
剣が校舎内に飛んで行ったと同時に屋上に生えていた木は消えていった。校舎から女の人が出てきた。
「あーどっと疲れたわ」
「お疲れさん」
「おつ…」
三人でハイタッチしてる中警察のサイレンが鳴り響いていた。そして彼らは一目散に三人を包囲した。
「え?なんで私たち警察に包囲されてるの?」
「覆面…」
「これどうするの⁉え?このまま連れていかれるの?」
「もうしょうがないだろ、あきらめろ」
「やだー!」
「まっ、二人ともあきらめろ」
そして坊主頭が二人の方をポンッと触れてワープした。天音は結局あの三人と話すことなく別れた。
「天音くん、大丈夫だった?」
「うん、なんとか。朝川さんは」
「大丈夫だよ、クラスのみんなも無事みたいだし」
「そっか、よかった」
こうして、この事件は終わった。死亡したのは花山を含め学校の教師全員だった。生徒は転校を余儀なくされた。
この事件で起きたことを蓮にすべて話した。
「そっか、そんなことがあったんだな、それでみんなは大丈夫だった」
「はい、そして実際に対峙してわかりました。人のままだったら奴らには勝てない…蓮さん、あなたの血をください」
「もう人には戻れないぞ、それでもいいのか」
「はい」
能力者になる決断をした天音、そしてワープしてどこかに行った三人組、花山の言っていたあの方とは…そしてあの方の目的とは何だったのか。謎は深まるばかりである。
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