第7話

今、屋上にいる。

頃視野は斜向かいの屋上にいる。

誰かと闘っているが隠れてばかりだ。


頃視野の動きが急に良くなり、次の瞬間、相手の体から生命が抜けた。


まさに「瞬殺」だな。


今度は両手を広げて、伸びを始めたようだ。

「撃ってくれ」と言っている。

そうとしか思えない。


俺は遠慮なく引き鉄をひかせてもらった。


仕事は終わった。

速やかに道具を片付ける。

あいつの体は誰かが回収に来るだろう。


俺も引き上げよう。

立ち上がるとき膝を誰かに引っ張られたようになり前につんのめった。


スパッ


嫌な音がした。

間一髪。


振り返りきらずに後頭部に銃をつきつけられた。

俺は近接戦が苦手だから訓練してない。

さっきしまった道具以外に武器を持ってもいない。


「動くなよ」


後ろで声がする。

知らない人間の声だ。


「お前、嫌われてんだなあ。前髪が長くて顔が見えないから不気味だってさ。小太りだしチビだし髪は長えし。もういらないから処分しろってよ。

 お前さ、命の恩人を殺したんだって? ないわー恩人殺しはないわー。俺だったら自分の手でお前八つ裂きにするけどね」


あいつは俺が殺したってわかっても多分いや絶対に俺を恨んだりしない。それは断言できる。


なら何故あいつに執着してたんだ?


答えが出てきそうで出ないまま俺の命は終わった。

くしゃみかよ。


面白い。

声をあげて笑いたい気分だ。

こんな感情は久しぶりだ。


感情。そう、命も静電気と同じ。




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もう一人の殺し屋の話 丸 子 @mal-co

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