【本格】魅力的なキャラを携えて、京都の建造物に込められた「意図」を知る

私は京都に訪れたことがありません。
そんな私ですが、この小説を読むことで仮想的に京都にいる気分を味わえます。

主人公のトオルくんはぼっちの大学生。
そんなトオルくんは、同類と思わしき男と出会います。
この男こそが、トオルくんと私達読者を京都に案内してくれます。

この男―ススムくんは、京都を愛するちょっとだいぶ変わった男の子。
彼の京都の建築物に関する知識には大変勉強になります。
少々愛が強いので、だいぶ早口で長文で解説します。京都に興味がない方には苦痛かもしれません。それでも京都に興味を抱かせる。彼の語り口にはその力が宿っています。

お寺、神社、庭。

私は読んでいて、それらには「意図」が込められると感じました。メッセージと言ってもいいでしょう。

体験できる「意図」というのでしょうか。それこそゲームやアニメなどと同じように、まずはじめに「意図」を設定し、その「意図」を感じてもらうために多くの人が協力し「製作者」になる。そして「意図」を体験する人がいて、それらを踏まえて解釈する。

作り手と受け手の総合芸術なんだろうなぁと思いました。

ススムくんは製作者の「意図」と自分の解釈を話してくれます。へぇ〜ボタンがあれば何回も押していることでしょう。

そしてサークルの名前ですが、作者さんのペンネームにも同じ字が使われていますね。確かに相当な京都好きじゃないとこの小説は書けないだろうなぁ。納得。

あなたも京都を小説で堪能しませんか? ほっかりして勉強にもなります。
おすすめですよ。(あとラブコメとのことなので、恋の行方が気になりますね。ラブコメ好きとしては!)