3日目

僕は署で事情聴取を受けていた。

彼女と出会った経緯も聞かれたので説明した。

警察が来てから約二時間、僕は疲れていてとても眠かった。

これも彼女のためだと思い耐えた。


「君の荷物を見させてもらった。この写真はいつ撮ったんだ?」


「あぁ、それは付き合った初日ですよ。恥ずかしがり屋だから目を反らしちゃってるんですけど、綺麗でしょ?」


警察官は僕の溺愛ぶりに少し引いていた。

それからすぐ事情聴取は終わり、病院に入院することになった。

僕の顔は腫れていて、骨にヒビが入っていた。

手や肋骨もヒビが入っていたり、折れていた。




コンコンと病室のドアがノックされた。

入ってきたのは白衣を来た女性の医者だった。

医者はベッドの横にあった椅子に腰掛け、神妙な面持ちで口を開いた。


「とても言い辛いのだけれど…



あなたにお付き合いしている人はいないわ。」


「え?何を言っているんですか、変なこと言わないでくださいよ。」


僕は鼻で笑った。

この医者は冗談が下手だなぁ。


「あなたは統合失調症なの。彼女とお付き合いしていたのも、連絡を取り合っていたのも全部、全部妄想よ。」


僕はとうとう医者の頭が可笑しくなってしまったと思った。

医者は僕に一枚の写真を渡した。

付き合った日に撮った写真だった。


「この写真の彼女はどうして目を反らしているの?」


「それは彼女が恥ずかしがり屋だからですよ。」


僕はぶっきらぼうに答えた。


「じゃあ、もう一つ。この写真はどこから撮ったの?」


僕は写真を見ながら答えた。


「彼女のそば…から…」


正確には途中までしか答えられなかった。

彼女の周りには葉っぱや枝が写り込んでいた。

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いつでも一緒 リーア @Kyzeluke

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