2日目

『相談があるの』


一週間前のことだった


『バイトの帰りに誰かにつけられている気がするの』


彼女はとても怖がっていた。

僕はストーカーから守ってあげなければと思い、警察に相談したが相手にされなかった。

まだ何も起こっていないし、気のせいかもしれないと言われた。

僕は怒りに震えたが、彼女をストーカーから守れれば解決する事だと考え、警察を頼るのを止めた。

次の日からバイトの帰りは僕が家まで送ることにした。

彼女は少し安心したようだった。



事件は起こった。

つい昨日のことだった。

一昨日と同じように彼女を家まで送り届けようとしていた時だった。

ストーカーらしき男が僕の肩を掴んだ。

彼女はまだ出てきていない。

ストーカーを捕まえるなら今しかない。

僕はストーカーの顔面めがけて右ストレートをお見舞いした。

格闘技が好きだった僕は見よう見まねで技を練習していたのが役に立ったようだ。

ストーカーは倒れたがよろよろと立ち上がり、僕は右フックを食らった。

その時彼女が出てきた。


「逃げろ!どこか安全な所に行け!」


彼女はすぐ夜の闇へと駆けて行った。

僕はストーカーと向き合い、構えた。

彼女のために何度も殴り、殴られた。

二人ともフラフラとしながらも、殴りあっていたその時だった。

ファンファンという音と赤いライトが辺りを包んだ。

どうやら彼女が警察を連れてきてくれたようだった。

僕とストーカーは警察官に引き剥がされた。


「12時2分、傷害罪の現行犯で逮捕する。」


僕は全て終わったんだと思った。

彼女はボロボロになった姿を見て泣いていた。

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