哀(かなしみ)の極(きわみ)

@HasumiChouji

哀(かなしみ)の極(きわみ)

「では、亡くなられた前大統領の国葬の現場からの中継を終ります。スタジオ、どうぞ」

「暗殺により命を落された前大統領の葬儀は、国中が哀しみに包まれる中、粛々と行なわれ、只今、終了いたしました」

「しかし……こんな言い方は何ですが……見事な葬儀でしたね」

「え……ええ……」

「歴史に残る素晴しい……いや、素晴しいと云う言い方は不適切でしたね……」

「あ……あの……すいません、何を言ってるんですか?」

「いや……準備期間が、たった2週間しか無かったなど信じられ……えっ⁉」

「何ですか、貴方達はッ⁉」

「やはり……そうだったか……」

「『やはり』って何が『やはり』なんですか? 何で軍隊が……うわあああ……」


 その後、この中継番組のスタッフ・出演者の姿を見た者は居なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

哀(かなしみ)の極(きわみ) @HasumiChouji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ