第2話

 明日出てくよ。母が突然言いました。明日はパパが病院に行く日です。

 風子を抱っこしながら、今日で最後だね。と寅子が言いました。

 次の日、パパが出ていくと、母の職場の村ちゃんが来て、荷物を運んでくれました。 

 中学の学区が変わらない範囲の場所の、ボロアパートで、母、寅子、風子、村ちゃん、四人で住み始めました。

 真っ黒いゴキが毎日何匹もでる家で、耐えきれず、すぐに引っ越しました。

 そこは、むらちゃんの実家のある、海の見える町でした。

 少しして弟の薫が産まれました。

 とても可愛い顔立ちをした男の子でした。


 高校生になると、学費を稼ぐために週5でバイトを始めました。

 バイト先の店長に車に引きずり込まれそうになったり、バイトの後毎回食事に誘われたり、断ると次から嫌がらせをされたり、数人で遊んでいたのに気がつくと二人になり、地元で有名な峠に連れていかれたり、先輩が送ってくれくれると言うので送ってもらうと、突然抱きつかれたりと、なにかある度にバイトを替えながら一生懸命働きました。

 推薦をとり進学し、寅子は歯科衛生士になりました。

 400万円の奨学金を返すために、狭いアパートで、食費をきりつめ、友達ともあまり会わず、夜は銀座で働き、六年で全て返還しました。


 その頃知り合った真面目で誠実な同い年の男性と何度か図書館デートを重ね、お付き合いをし、結婚しました。

 彼の実家は代々続く仕事をしていて、とても裕福でした。

 寅子は結婚してすぐに男の子を二人産み、お腹には赤ちゃんが居ました。

 綺麗なマンションに住み、風が吹き抜けるリビングで本を読んでいると、ケータイがなりました。

 お母さんが死んでる。薫からでした。

数ヵ月後、寅子は女の子を出産しました。

 しかし、産後の肥立ちが悪く、あっけなく息を引き取りました。

 税金とりすぎじゃないですか、神様


少しして、寅子の祖母が家を訪ねてきました。三人目のひ孫。その顔をみて息を飲みました。

 馬子だ。この子は馬子と同じ顔をしている。


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続 美人の税金 まりう @atorako

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