続 美人の税金
まりう
第1話
バブルの頃、男前の父と、美人な母との間に一人の女の子が産まれました。
寅子と名付けられました。
寅子が小学校にあがる少し前に両親は離婚。
父と、弟と住んでいました。
近くに父の姉家族が住んでいて、毎日そこで夕飯を食べてから家に帰っていました。
その家にはこどもが三人いて、毎日寅子と、弟の龍成に意地悪をしました。
おばさんも二人にきつく当たりました。
保育園では、寅子はいつも先生に怒られ、逆さずりにして、落とすぞ。とおどされた事もありました。寅子が泣くと先生達は笑っていました。
小学校にいっても、なにか問題があるとすぐに寅子のせいにされ、廊下にたたされたり、髪の毛をひっぱられたりしました。
家では、父が寅子と龍成をたたせ、怒鳴り散らし、顔をぶん殴りました。
ふっとぶと、立て。と言われ、立つとまた叩かれたり、蹴られたりしました。
泣くな。と言われるので、口の内側の肉を噛み、泣かないようにしました。
9歳のある日、夜寝ていると父にたたき起こされました。
これからお母さんが来るからな。お母さんに会ったこと、龍成には言うなよ。と父が言いました。
すぐに綺麗な女の人が玄関から入ってきました。
とてもいい匂いのする、髪の毛がふわふわのお人形さんのような人でした。
おかあさん。と言うと、寅子。とその女性は優しく呼び、寅子を抱き締めました。
次の日曜日、お前はお母さんの所に行くんだ。と父が言いました。
次の日曜日、寅子は、ランドセルとリュック一つを持ち、母を待っていました。
母が来ました。父と弟に手を振り、止まっていた車に乗りました。
車のなかには男の人がいました。新しいお父さんでした。
パパと、母と、寅子の三人の生活が始まりました。
その夜、寂しくなり、おうちに帰りたい。と寅子が言いました。
すると、母がすごい顔で寅子をひっぱたきました。それ以降この言葉を言うことはありませんでした。
中学にあがる少しまえ、寅子に仲間はずれにされたと言い張るわがままな女の子が、手首をうっすらカッターできり、自殺未遂をしました。
その子の親が大騒ぎをし、うちの子があんたに殺される。あんたは加害者よ!うちの子は被害者なのよ!と校長室で騒ぎまくり、寅子を指差して暴言を吐き続けました。
その頃妹の風子が産まれました。とても小さくて可愛くて、いい匂いがして、この子はわたしが守る。と寅子は思いました。
中学に入ると、入学式当日に先輩に囲まれ、お前ルーズ履いてきたら目の前で燃やしてやるからな。と言われました。
二年間先輩にしばかれつづけました。
集合写真には毎回顔に画鋲が刺さっていたり、顔が削られていました。
上履きや体操着はしょっちゅうゴミ箱や、トイレ、側溝に落とされていました。
しかし、バレー部に入り、たくさんの仲間もできて、楽しい学生生活を送りました。
部活でへとへとになり帰ると、いつもパパが家にいました。
そして毎日家に居るようになりました。
母は風子を保育園から連れて帰り、寅子に任せて家を空けるようになりました。
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