第5話

あれから1ヶ月、真理子は喫茶店に顔を出さなかった。


「真理子ちゃん、忙しいんだねぇ。」

とマスター。


「そうっすね‥‥。」




~カランカラン♪


「お久しぶりでぇ~す!」


と、ソバージュヘアの女性がドアを開けた。



「ま、真理子ちゃん‥!!」


 マスターとふたりで目を見開いた。



「えへへ~、アイスティーお願いします!」


久しぶりに真理子が、喫茶店に現れた。1ヶ月前とは違い、髪の毛にパーマを当て、引き締まったベルトに真っ赤な口紅。



「うわぁ、真理子ちゃん大人だね~。」とマスターが褒めた。


「フフ、素敵でしょう?」とくるくるパーマをいじる。


「最近、新曲のレコーディングで忙しくてなかなか来れなくて、今日やっと時間が取れたの‥‥‥


翔さん、久しぶりね。元気にしてたの?」



「うん、久しぶり。元気だったよ。」



「これ、発売前何だけど、新曲なの、聞いてね、」


と、真理子がレコード盤をマスターに渡した。

レコード盤をじっくり見てマスターが言った。



「翔、そこ座りな。」


「はい。」


僕は戻れるんだな。

と納得し、いつもの特等席に座った。


真理子が頭にはてなを浮かべている。




~♪



あぁ、いい曲だなぁ。と、目を閉じた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「翔さん!びっくりした!消えていくんだもん!」


と、真理子の声が聞こえた。


目を開けると、真理子に手を掴まれていた。



「あれ、、、失敗???」と呟くと、




目の前のマスターが



「いや、成功だが‥‥失敗‥‥??」




目の前には71歳のマスターで、横には1987年の真理子がいる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「そういうことね‥‥‥もう!翔さん、どうして言ってくれなかったのよ!」


と、真理子がプリプリ怒ってる。




戻ってきた2022年は僕がいない間、時間だけが過ぎていて今は10月となっていた。


マスターは僕が消えたのを見ていたらしい。




「じゃあ、真理子ちゃんはこの曲を聞くと戻れるのかな?」



「少し外出ましょうよ!あたし、未来がどんなものか見てみたい!」


と、真理子が言い出した。


「ほら、翔さん、約束は守ってよ!ラーメン、食べに行きましょう!」



マスターが、渋々、今日だけだよ。と、合意してしまった。



「えへへ、翔さん、行きましょう!」と、手を引っ張られる。






真理子と歩いていると、真理子の服装に目が行く。


真理子の服装はなんだかすごくお洒落なインスタグラマーみたいな感じで。


僕もお洒落な服に着替えれば良かったな‥‥と思いながら隣を歩く。




「あの洋食店、無くなっちゃったのね‥‥」

と寂しそうに真理子が言う。



「そうだね、時代は怖いね。」


「あの、ラーメン屋さんあるかしら。」


「どうだろうね、」



と、歩いていくと真理子が小走りをしだす。


「ちょ、真理子ちゃん!転ぶよ!」


「翔さん、あったわ!!!ラーメン屋さん!!」



と、嬉しそうに2名で~す!と、ラーメン屋さんに入っていった。


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不思議な喫茶店 ジジ子。 @jiji0504

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