第4話
あのあと洋食店をでて、「また明日、喫茶に行くわね。」と真理子と別れた。
稼ぎがないため、自分の分しか払えず男らしくないなぁと思いつつ帰宅した。
「結構、遅かったな、」
「道で真理子ちゃんと偶然会ってナポリタンを食べたんです。」
「ほぉ、偶然ね‥‥‥。」
とマスターは顎に手を置き考える仕草をしてしばらくすると、じゃ、夜ご飯いらないか??と言った。
カランカラン♪
翌日、真理子はまた喫茶を訪れた。
「マスター、アイスティーひとつ!」
真理子はコーヒーが苦手らしくいつもアイスティーかメロンソーダを頼む。
「ほい、アイスティー。
最近、大人っぽくなったね、真理子ちゃん。」
「やだぁん、マスターほんとに?ウフフ」
と、真理子は照れたように笑う。
「翔さん、今度ラーメン屋さんにでも行きましょう?一人で入るのは勇気がいるのよぉ。じゃ、マスターごちそうさまでした!」
と、返事を返す間もなく真理子は店を出ていった。
カランカラン♪
しばらくマスターと沈黙が続きマスターが口を開いた。
「真理子ちゃん、君に恋をしているね。」
「そうですか?誰とでも仲良くするタイプだと‥‥」
「恋をすることはとてもいいことだけど、歴史を変えてはいけないよ‥‥‥‥。」とマスターが言い残し、裏へ作業にまわった。
一日の仕事が終わり、テレビをつける。
ちょうど、真理子がさらさらの髪の毛を揺らしながら最新曲を歌っている。
たしかに週刊誌に一緒に歩いてるところを撮られたりでもしたら、記事が出回ってしまうわけで。真理子は超有名芸能人なため、ビッグニュースになってしまう‥‥‥。ましてや、令和の人間が写り込んでしまうと非常にまずい。
これからは断らなきゃな‥‥と考え、眠りについた。
翌日、
カランカラン♪
「おはようございます~!
マスター、アイスティーで!」
といつものように真理子が来店した。
「翔さん、次の定休日は予定あるかしら?ラーメン屋さんに行きましょう!」
「うーん、店の買い出しにいかないといけないかな。」
と、その次の週もまたその次の週も適当な理由をつけ真理子の誘いを断った。
10月半ば1987年に来てから2ヶ月半が経った。
「翔さん、全然、外で会ってくれないのねぇ。外でばったり会ってもすぐ逃げちゃうし。ラーメン屋さんにも行きたかったのに。」
と、真理子が愚痴をこぼす。
「もっと真理子ちゃんは自覚を持ったほうがいいよ。有名芸能人だってこと。」
と、頼まれたアイスティーを置く。
今日はマスターが遠出して、買い物に行ってるので自分一人で店を任されている。仕事もなれてきたので、最近一人で任されることが増えてきた。
「やっぱり、芸能人ってだめかしら‥‥?」
と、お得意の上目遣いで真理子が聞いてくる。
「だめというか‥‥。」と僕は黙ってしまう。
アイスティーを飲み干すと真理子が「あたしは翔さんのこと、好きよ。」と一言こぼした。
突然の告白に驚いていると、真理子が「じゃ、ごちそうさまでした!」と帰っていった。
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