第3話

1ヶ月が過ぎ、9月に突入するころ。喫茶の手伝いをし、喫茶の上にあるマスターの家で居候をさせてもらっている。今日は喫茶店が休みなので、喫茶店の近くを散歩している。


「あぁ、いつ戻れるのかなぁ。」なんてため息を漏らす。


この生活を続けていて、気づいたことが多々ある。

1987年は2022年と違い、みんなスマホはもちろんガラケーすら持ってないしインターネットもない。消費税もない。朝シャンって言葉が今、流行ってるらしい。



意外と不自由なく過ごせている。スマホがないのが一番厄介だが‥‥。




そして、2022年に戻れる鍵を握ってるであろう真理子の〇〇って曲はまだ発売されてないらしい。





「あ!翔さーん!!」



人通り少ない道をふらふら歩いてると、後ろから真理子の声が聞こえた。


「あれ、真理子ちゃん仕事休みなの?」


真理子は毎朝仕事前に喫茶店に来店するのでとても仲良くなった。



「昨日頑張ったからお休みになったの。翔さん、暇ならお出かけしましょうよ!」



相手は有名芸能人で、週刊誌の記者が怖いなぁと思いつつも、人が少ないところなら‥‥と承諾してしまった。



「やったぁ!♡」

なんて手をたたく真理子はとてもかわいらしい。


真理子に連れられて来たのは、路地裏の目立たない洋食店で


「ここ!あまり知られてないけどすごくナポリタンが美味しいの!」



こういうお店、見つけるの上手だよなぁと感心していると、早く行きましょう!と中に案内される。



「ナポリタン2つでお願いします。」と、真理子が席につくとすぐに注文をした。



2022年はこのお店見かけなかったから、潰れちゃったのかなぁ。と考えながら、お水を飲む。



「ねぇ翔さん。あたし、ソバージュヘアー、似合うと思う??」


と、真理子が質問をしてきた。



「ソバージュヘアーってなんだい?」


2022年、令和ではあまり聞かないセリフで。いや、自分が髪型に興味がないだけだからなのか。


「もう!翔さん、流行に疎いんだからぁ。

ほら、今流行りの細かいパーマのことよ!」



「あぁ、街中の女性がよくしてる‥‥」


「もうちょっと髪の毛伸ばしてからのほうがいいかなぁ‥‥」と、肩くらいのストレートヘアーの真理子が髪の毛をいじっている。



「きっと似合うよ。」というと、真理子は


「いやぁ、そんなぁ~。フフフ」


と、頬を赤らめながら嬉しそうに水を飲んだ。




そんな話をしている若い男性がナポリタンをもってきた。ごゆっくりどうぞ、と。



髪型なんかあまり気にしなかったけど、時代が違うだけで全然違うんだなぁと。今の男性はなんか前髪が斜め切りだし‥‥。



「翔さんも、髪型変えてみたら?

ほら、さっきの店員さんみたいにチェッカーズ風の髪型もいいじゃない!」



「えぇ‥‥。いやぁ、僕は似合わないよ‥‥笑」


「似合うと思うんだけどなぁ‥‥。」と、真理子が口を尖らせる。




今の自分の髪型はマッシュっぽい髪型で、あの髪型をして令和に戻ったとき絶対変に思われる、と考えごとをしながらナポリタンを頬張った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る