第2話
「1987年よ。」
なるほど。ずいぶん、リアルな夢だなぁと、太もも辺りに手を置き思いっきりつねって見る。
痛い。
あぁ、これはやばいパターンでは‥‥どうやばいのかわからないけれど、ほら、よく漫画で見る‥‥と考えているうちにメロンソーダが届く。
「うわぁ、マスター!今日も、美味しそう!」
と真理子が隣で嬉しそうにメロンソーダに手を付ける。
放心状態でしばらくメロンソーダを見つめていると、
「あ、お兄さん、アイスクリーム、溶けるの待つ派なの?」
と真理子がいう。
「え、あ、いただきます!!」
「えへへ、お兄さん、なんか面白いね。」
テレビの中にいた人が自分の横にいるのが初めてのことで、いや、昭和時代にいることが初めてのことで。いや、これ前例がないよなとこれからどうしようと頭をフル回転し甘いメロンソーダを胃に流し込んだ。
「お兄さん、何歳なの??」
「あ、24歳です。」
「へぇ、結婚してるの??」
「いえ、、」「お仕事は??」
などと、会話を続け、わかったことは、
真理子。20歳。アイドル。デビューから2年目。
忙しい日々を送っており、時間があればここの喫茶を訪れ、マスターとの会話を楽しんでいる。
マスター。36歳。1年前から一人で喫茶店を経営。結婚はしておらず、喫茶店の上の家てひとり暮らしをしている。
「お兄さん、無職ってことはここの喫茶を手伝えばいいんじゃない??マスターがこの前、従業員を雇おうかなって言ってたじゃない!」
「え、いや、そんな‥‥「そうだね!ぜひ、手伝ってくれ、一人だと大変なんだ。」
と、今まで職を探して悩んでたのが嘘みたいに数秒で職にありつけた。
「よろしくな!村上 翔くん。」
と、マスターがいった。
その笑顔がマスターそのものでなんだか安心した。
「それにしても、翔って珍しい名前ね。」
と真理子がいう。こっちからしたら、真理子って名前のほうが珍しいぞと内心思いつつ、苦笑いを浮かべた。
~カランカラン♪
真理子は仕事があると帰っていった。
マスターとふたりきりでなんとも言えない空気が流れると、マスターが口を開いた。
「で、君はいったい何者かい??」
心臓が跳ね、冷や汗が流れる。
「さっき、裏で作業をしてたら君がいたと言ったが、実は目の前で作業をしてたら急に君が現れたんだ。」
「あ‥‥。よくわかりません、目を開けたら時代が変わってたんです。多分、僕、未来から来たんだと‥。」
「なるほど‥‥。」マスターは黙り込んだ。
「しばらくここにいなさい、どこもいくところがないのだろう?未来に戻るのもきっとここからだと思うし。」
あぁ、この人は昔から変わらないんだな。
「ありがとうございます。」
「あ、レコード‥‥。」
見慣れたレコード達が右に置いてあるのに気づく。
「お、最近レコードプレーヤーを買ったんだ。なにか聞くかい??」
あの曲を聞いたら戻れるかも!と思い
「真理子さんの曲、聞きたいです!」
「あぁ、まだ数枚しかないけど」
あれ、ない。あの曲のレコード盤がない‥‥‥。
「〇〇って曲、ないんですか??」
「さあ‥‥聞いたことないなぁ‥‥。B面かなぁ‥‥。」
あぁ、きっとまだ販売されてないんだな。
じゃこれにします、と適当な曲をチョイスした。
メロンソーダを飲み終わる頃、10時頃「よし、店を開けるか。」と、マスターが言った。
そこから色々仕事を教わり、一日の業務を終えた。
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