第42話 俺ちゃん死す おわり
タマリエルの目は童貞には致死量の冷たさだった。
これで本当に気持ちよくなれるの上級者だけやで……。
俺は胸を圧し潰されそうになりながら言葉を漏らす。
「あ、あれ……? ど、どうしちゃったん? 俺ですよ? タマちゃんのこと大好きクリムゾンオーガの僕チソですけどぉ?」
「あ、あなたは私の心を操っていたのでしょう? 私のこの気持ちは偽物で作られたもので……本当はあなたのこと好きだなんて思っていない、そうなのですよね?」
「え? え? 俺のこと嫌いになっちゃった?」
俺は今、こんなにもタマちゃんのことが愛しいのに?
ぷーくすくす。
俺の横で、デスメソスが吹き出していた。
「残念だったなあ! よくわからんが、目が覚めたらしいぞ? 貴様のような愚劣な怪物を本当に好きになってくれるものなどそうはいないに決まってるよなあ! かわいそうに!」
こいつめっちゃ嬉しそう。
ぶん殴りてえけど、そんな気力もわいてこねえ。
「全部……全部こいつのせい……!」
聖女見習いのクレアの目は今や燃え盛る炎のよう。
俺を睨みつけている。
「わたしは絶対、こいつを許さない……! 殺してやる……!」
「お前も俺のこと嫌いなん?」
「好きになる要素がどこにあるの!? アレクを殺しかけたのよ!?」
やったのはこの子で、俺は助けたんだけど、そういうことじゃないよな。
俺のスキル【聖女魅了】がそもそもの元凶なんだから。
そして、俺はクレアにこんなに憎まれているのに、どうにかして仲良くなれないかと下心満々。
謝ったら許してくれて、セックスさせてくれるかしら?
「わ、悪かったよ。許してくんない? 俺に償えることがあれば償うから……そんなに俺のこと怒んないでくれよ~」
「……じゃあ、死んで。そうしたら許してあげるわよ!」
「ひぇ、いや、それは……」
「そうだクレア殿。あなたの手でそのオーガを殺せ。今なら、オーガはあなたを攻撃しようとせず、あなたからの刃を受け入れるだろう」
女騎士が勝手なことを言う。
……だが、その言葉は正しい。
聖女見習いクレアが短刀を構えて俺ににじり寄ってくるのを、俺は待ちかねた気分で見つめるばかりなのだから。
クレアが俺に近付いてきてくれる!
うひょー!
それだけで俺はウキウキして、こんなウキウキした気分にさせてくれるのなら首の1つや2つ差し出してもいいかな? ってな気持ちになっていた。
俺はひざまずき、切りやすいように喉元を突き出した。
こうするとクレアがきっと喜ぶ。
そう思うとごく自然に。
「そんな……どうして無抵抗で……? 死を受け入れる覚悟を……?」
「呪詛返しが効いている証だ」
「ほ、本当に殺すのですか? その……そこまでしなくても……」
「……おかしいな。エルフ殿はまだ魅了が解け切っていないのか? 我が神の呪詛返しが効いていないはずはないのだが」
戸惑ったようなタマリエルの声に女騎士の答え。
そして、聖女見習いクレアの吐き出すような呟き。
「……殺さないと……この偽物の気持ちは完全には消せない……!」
俺の首を横に掻っ切るように白刃が閃いた。
ぎゃー。
俺は死んだ。
俺の冒険は終わった。
反逆のオーガ魔導士~エルフ大好きな俺、オーガに転生して脳筋無双となったがチソチソがデカすぎてエルフとできねえの何なん? だからチソチソを小さくする禁術を探しに変態ロリ闇エルフと旅に出る 浅草文芸堂 @asakusabungeidou
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