第2話:臭い救出

ゴブリンやスライムを殺してさらにダンジョンの奥に進んでいく

とりあえず、金曜の夜から潜っているから

日曜の昼に帰れればそれでいい。

今は、土曜だから、あと少ししたら戻ろう。

あーあ、戻ったら戻ったでめんどい生活が始まるから嫌なんだよな…


と思っていたら、奥から騒がしい声が聞こえた。

「お嬢様を守れ!

糞!タンク役は下がれ!」

ちょうど、モンスターと戦っている一団がいた…が、

初期段階のダンジョンに似つかわしくなく劣勢のようだ、

モンスターもよく見るとオーガと呼ばれる人型のモンスターだ。

確か、Bランク相当のモンスターでかなり強い部類に入る強敵だ。

今は前衛の男が何とか持たせているが、

後ろのVIPらしきお嬢様と盾役(タンク)の女が満足に動けておらず

足枷にあっているようだった。


どうするか、考える前に体が動いていた。

俺の位置はちょうど、オーガから死角になっていて、不意をつけそうだ

俺は素早く飛び出して、オーガの顔めがけてあるものを

投げつける。

ちょうど俺が飛び出した気配に気づいたオーガは

勢いよく俺の方に振り向き…

見事その顔面にとあるブツが当たった。


ギャァァァア!!!


声にならない声とはまさにこのことだろう。

怒り狂ったように棍棒を振り回すオーガから距離を取りつつ

俺は男に声をかけた。


「おい!そこのお前ら!今のうちだ!逃げるぞ!」

「援護感謝する!ところであいつに何投げたんだ?」

「ああ?うんこだよ!

とりあえず顔面に当たったからしばらくは、目も鼻も使えないはずだ!

今のうちにさっさと逃げるんだよ!」

「ちょ、ちょっと待って!わ、私足に力が…」


声に気づいて振り向くと

VIPらしきお嬢様は、オーガの迫力に足が震えたままになっている。

めんどくさいな…

だが、ここで中途半端に見殺しにしたら、ダンジョン内救護義務違反になり

最悪免許停止処分になる可能性がある。

オーガを足止めした時点で、義務自体は果たしているが、

優良免許保持者を自負している身としては、

助けないわけにはいかない。


震える女を抱きかかえると一目散にダンジョンの外に走り出す。

おつきの二人の足腰は万全なのか、俺の後についてきてくれているようなので

俺たちは一目散にダンジョンの出口に向かって走りだした。

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ダンジョンが生活圏の人 @runtatta_san

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