第3話
薄暗い廊下をルームは急ぐ。
日が傾き始め空が紫色に変化していっているが、この廊下が薄暗いのはそんなためでは無い。
ここは魔道塔、日夜魔法の研究が行われている場所であり帝国の秘匿するべき場所だ。
なので情報が漏れないようこの廊下は沢山のゴーレムによって守られている。
彼らが窓を塞ぐよう立っているので光が入ってこないのだ。無論、夜目の効くルームにとっては薄暗いなどはどうって事ないのだが。
廊下を、急ぐ自分を追うように動くゴーレム達の目がルームを不安にさせる。
今から会おうとしている。ショー・セント・バーナードはこの魔道塔の最高責任者であり魔法の探求をこよなく愛する魔導首席監督官。場合によって宰相であるルームより偉い可能性のある人物なのだ。
だからこそ、部下に任せることが出来ず自ら出向いている。
やがて、ルームは廊下の最奥の扉にたどり着く。
ルームは大きく深呼吸をすると、ドアのノッカーを鳴らした。
「ルーム・シュナイザー・ウィザードです。バーナード首席魔導首席監督官にお話があって参りました」
反応はない。しかしながらルームが魔道塔に入った時点で、ここに現れるであろうと予想しているはずだ。気が付かなかったなどは有り得ない。
しばらくそのままで待っていると、ギギキーっと音を立てて重い扉が開いた。
白地にブラウンのまだら模様、頬の皮は垂れている。黒色の長い折りたたまれた耳をぴくぴくしながら出てきた男こそ、ショー・セント・バーナードだ。
「何用かね?ウィザード殿。いや、いい。君が来たということは皇帝妃殿下の命令かね?」
鼻にかけた小さなメガネを外しながらショーは問いかけてくる。
温厚そうな顔立ちに誰もが騙されるが、決して歓迎していない事はルームが一番知っている。
「妃殿下より、ご命令です。出法陣を使う際力を貸してほしいとの事です」
「ほう? 一都市国家でも動かすおつもりかな?」
垂れた皮膚が覆うめを見開いて、ショーは訪ねる。
と言うのも皇帝陛下、妃殿下 2人の魔力は帝国内でも膨大で、例えばこの魔導塔など彼女一人で動かすことが出来るだろう、ゴーレム達の重さもかみしてだ。そんな妃殿下の以来なのだ、そう思うのも無理はない?
「いえ、アスピドケロン一体です」
特殊個体なのかと問うショーに、ルームはいいえと答える。そして、続ける。至急との事です、とりあえずお越しくださいと。
トイレにこもると異世界転移 ヒヨコの子 @hiyokoMa
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