第11話 パレードの終わり
タカケンに説明を求められたが、答えようがない。とにかく校舎に行こうと説得した。
笹本が心配だった。
校舎に近づくと、流れている曲がパレードマーチではなく、東京音頭になっていた。
「はっ?」
校舎に入ると、着ぐるみの動きが止まっていた。
「どうした、みんな?」
この光景にタカケンが慌てている。
着ぐるみの中でも、意識が戻ってきているようた。
「えっ、なにこれ?」「何だこれ」「どういうこと?」
あちこちで声がした。
どうやら、パレードは終わったみたいだ。
首のあたりを痛そうに手をあてて、おっさんが校舎から出ようとしている。
らーめん「トップ」のおやじだった。
放送室から、笹本が出てきた。
「おお、三上。大丈夫だったか!」
「ああ、シャチはタカケンだったよ」
「マジか、強いわけだ」
「しかし何だったんだ?」
「ダイオウグソクムシはらーめんトップのおやじだったし」
「分かんないね。操られていたのかな」
「あ、絵理はどこだ?」
絵理を探そうと思った。たぶん、2-Cの教室あたりにいるだろう。
「なあ三上。絵里って誰?」
「はっ⁉ 東絵里だよ」
「そんな子。クラスにいないぞ」
「えっえっ?」
そうだ。思い出した。絵里なんて子はいない。
思い出した。俺に彼女はいない。
絵理って、誰だったんだ?
東京音頭が流れる中、おれは立ち尽くしていた。
サメの着ぐるみ、パレード妨害 @honnmyou
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