第一会場

 こちら、第十六回書き出し祭り 第一会場のタイトル感想です。

 歴戦の猛者たちが集うこの会場、どこから矢が飛んでくるかわかりませんからね。タイトル感想であっても気を抜けません。


 もし「あらすじ・本文の感想も書くと良いぞ」とか、「タイトル感想であっても見られたくないなぁ」という方がいらっしゃったら遠慮なくマシュマロまでご連絡ください(匿名でお願いします)。



↓↓↓以下、第一会場のタイトル感想です。



『1-01 廃棄東京、からっぽのマキナ』


 すごく声に出して読みたいタイトルです。「廃棄東京」や「からっぽの」から感じられる空虚感やほの暗さからディストピア系のお話をイメージしましたが、記憶を失くした主人公がぷらぷら彷徨って失くしたもの探しをする愉快なお話もかわいいですね。



『1-02 錬金術師の紡ぐ旅。』


 壮大なファンタジーですね。最後に句点があることで、すでに旅は終わっているのかなと想像しました。錬金術師さんの旅を追体験できるようなお話になるのかしら。


≪あらすじ感想(9/12追記)≫

 アウレリアが魔女のような見た目をしていること、そして勝気な性格と趣味、旅の中ではトラブルに巻き込まれるんだろうなぁ、という物語の見通しを持てる簡潔なあらすじだと思いました。「救済」がテーマになるのでしょうか。人々を救いながら、アウレリア本人も救われていく――そんな想像も出来ます。

 雰囲気も抒情詩のようで、第三者視点で語られる旅になるのでしょうか。だから……、というか、タイトルでの第一印象に引きずられているのかは微妙な所ですが、現在進行形で進む旅ではなく、淡々と紡がれる旅の思い出の物語……という印象もやっぱり消えません。なんとなくノスタルジックな気持ちになります。アウレリアの残したスケッチをめくるたびに旅の様子が呼び起こされる……ような光景をイメージしました。 


≪本文感想 9/20追記≫

 あらすじからの予想に反し、かなり物語の動くエネルギーを持ったお話でした。

 自己肯定感高め、言い方を変えれば無鉄砲なアウレリア。同年代との交流を持てなかったがゆえなのか、どこか幼児的な万能感を残したキャラクターだなと感じました。今後、どうアウレリアが成長していくかはこの作品の見どころの一つですね。


 ただ後述の内容とも重なる部分でも有りますが、アウレリアの背景情報が匂わせられてはいるけれど、この段階ではあまり多くない(性格や思考パターンは充実していますが)ので読み手の想像に任せる割合が多いなと思いました。そうすると後々読み手と物語との間のキャラクター観に齟齬が生まれる可能性もあるのかなと思います。きっと守衛や町人とは一線を画す身分なんでしょうね。そのギャップをどう楽しませてくれるのかが楽しみな部分でもあります。


 書き出し部分ではまず「神秘領域」とはなんぞや、という謎を残したまま話は進みます。途中で「神秘領域」についての説明はありますが、そこに探索に行くことがアウレリアにとってどんな意味を持つのかはまだ明らかにされていません。そしてアウレリアはどうやら家出。父は母親の死後、態度が変わってしまったらしいです。過保護がさらに強烈になったのか、それとももっと他の変化なのか、ということもこれから描かれる部分でしょうね。さらに引き部分で事件の予感です。(気を付けて、アウレリア!)

 とても多くの「知りたい」が込められた書き出し部分だと思いました。アウレリア同様に読み手もドキドキの冒険をさせてもらえるお話になるのではと、今後の展開を期待しながら読ませて頂きました。ありがとうございました!




『1-03 月華に翔けよ蝋の翼の贋作達よ』


 蝋の翼はイカロスですね。そして彼の生を終わらせた太陽と対になる月。なんとロマンあふれる美しいタイトルなのでしょう。スポーツ小説のようなエネルギーも感じました。



『1-04 メドウグリーンの墓守は、そうか公園の跡地に立つ』


 メドウグリーン、調べました。メドウなグリーンでした。『そうか公園』がキーワードになりそうですね。滅びた世界にポツンと残された墓守の絵が浮かぶタイトルです。



『1-05 リカちゃんの人形』


 我々の世代は「リカちゃん」にはかなり怖がらせてもらったのでね、その語を見るとどうしても第一印象がホラーになってしまうのです。雰囲気的にホラーコメディでしょうか。



『1-06 淡い輪郭』


 私は人の存在感や自我状態を表現するときに「輪郭」を用いるのが好きなので、不安定な自己像(もしくは他者)に触れるヒューマンドラマ的お話になるのかなと思いました。



『1-07 学園の天使と呼ばれる同級生の背中には正真正銘の翼がある』


 青春ですね。翼が主人公の幻覚なら良いのですが、主人公だけにしか見えないなら少し切なさも加わりますね。天使ですからね。



『1-08 元勇者の俺が魔王少女に転生した話 ~今世は女の子として“世界征服”目指します!』


 いわゆるTS転生と呼ばれるお話ですね。とても勢いのある雰囲気なので、きっとわちゃわちゃ賑やかなお話になるのでしょうね。そして元魔王が実は……までを期待してしまう読者です。


《あらすじ感想 9/14追記》

 なるほどなるほど……。うん、あらすじのみで情報に飲まれております! 整理させてください!

 まず、現在の“俺=アリス”について。転生した先の「アリス」は二重に転生したんですね。しかも「俺」だった存在は別にいる。さらにこの世界には元のパーティーメンバーがいて、今は悪逆支配者になっている。キャラが役割を変えてリセットされたようなイメージでしょうか。

 序盤で人物の背景だったり、人格の整理・理解が必要なストーリー展開であれば、読者側にもそれ相応のエネルギーが必要かもしれませんね。私の理解力が貧弱なだけかも……。

 そしてもう一つ。元仲間を倒しに行くってなかなかハード! でも勇者時代に「殺された」とあるので、きっと元仲間が関係しているのでしょうね。

 書き出し部分でどこまで見せてもらえるのでしょう。次ページはよこい、となりそうな予感がしています。


《本文感想 9/26追記》

 作者様、あらすじ感想では私の貧弱な理解力で臨んでしまい失礼しました。登場人物の立場や転生の情報等の設定がとてもわかりやすく面白かったです! 情報も会話の中で明らかになっていったり、祈りの言葉(祈り!?)で明らかになったりと、読み手の心を掴んで離さないテクニックがもりもりで、大変勉強になりました。複雑な設定ですが、ここまで整理しながら話を進めることができるものなんだなぁと、素直に驚いています。

 アリスちゃんの記憶もうっすら残っていそうなので、これまでのアリスちゃんの人柄がどんなものだったのかも今後の展開で明らかになりそうですね。それに最後の一文、「途切れた勇者の物語」から受ける「物語の正規ルートを外れてしまった感」に否が応でも期待してしまいます。さらに第二王女との百合展開も期待できるのでしょうね。続きを楽しみにしております!素敵な作品をありがとうございました。




『1-09 超天才おかしいイケメン幼馴染の、遺書の通りに生きてみた。』


 様子がおかしい前半と後半の落差にギュッとなるタイトルですね。「生きてみた」から見え隠れする「言われたからしてみた感」の危うさが絶妙だと思いました。たとえそれが自分の意思でなくとも生きていて欲しいものですからね。



『1-10 終活ゴブリン』


 ゴブリン……(´・ω・`)

どうせすぐやられてしまうから終活しとくべ、みたいな話でしょうか。楽しいほのぼのファンタジーだといいなぁと思います。終活をきっかけに倒しに来た相手との交流も生まれてほしいですね。



『1-11 悪役御曹司の作り方』


 並んでいたら手に取ってしまうタイトルですね。悪役御曹司の作り手が誰なのでしょう。自分でプロデュースするのか、それとも別の人物に「こうあるべし」とレクチャーされるのか。妄想が広がるタイトルです。



『1-12 豊穣のぬりかべさん』


 「ぬりかべさん」が、あのぬりかべなら、あやかし系のお話でしょうか。どのように「豊穣」と繋がってくるのか気になる作品です。児童向けにも相性のよさそうなタイトルですね。



『1-13 深海の舞台で死に至る』


 「深海」というワードから沢山の連想が出来るタイトルです。潜水艦、人魚、深海探査艇、アトランティス……。未知の病原菌が深海から発見され……のような展開も想像しました。あらすじ・本文公開を楽しみにしております!

 

 

『1-14 呪いはマナを、やぶれない~復讐したい闇堕ち元王妃は、偽りの家族愛に屈しないっ!~』


 あ、これは屈しちゃうやつです。ですよね、作者様? 「マナ」が人名なのか作中のアイテムなのかが明らかになるとワクワク度が高まります。



1-15 ポルターガイスト@セッション


 ラップ音や扉の開閉音でセッションするのでしょうか。本来ならばすぐに払ってしまおうと考える所ですが、共存を選ぶのですね。賑やかなお話になりそうで楽しみにしております。



1-16 ニア・オートマトン・フランケンシュタイン


 「オートマトン? オートなマトン……」と思って調べました。外部からの入力に対する反応をモデル化したもの、自動人形と……。うむむ。自動人形のフランケンシュタイン? との交流を描いた物語、とか。あらすじ待っています。



『1-17 My genius』


 初見、恋人への呼びかけ(My sweetと同じ類の)かしらと思ったのですが、教育虐待毒親説もあり得ますね。もしくは自分を開発してくれた科学者を失ったAI視点のお話など想像しました。



『1-18 美人の国』


 こちらはあらすじ待ちの作品です。「美人」の意味次第ですね。とはいえ、書き出し祭り参加作品ですから油断は禁物です。「美」の漢字の成り立ちは「大きい羊」ですからね。もふもふ人の話かもしれません。



『1-19 正義な推しアイドルに更生を迫られてる俺だけど世界征服は諦めたくない!』


 悪サイドなんですね、俺くん! 正義と悪との対立構造、そこに推しへの感情が加わることで生まれる葛藤。面白い要素を存分に含んだタイトルだなと感じました。意外に頑固そうな俺くんの性格にも注目ですね。



『1-20 転生したら弱キャラに偽装することになりました』


 偽装なんですね! それだけで転生先の世界では訳ありな状況に置かれたんだな、と想像できます。どんな弱キャラを偽るのでしょう、楽しみです。



『1-21 隣の席の暗殺者』


 おやまあ、物騒ですね。「暗殺者」を見ているのはきっと主人公だと予想。ストレートに想像すれば私だけが秘密を知っている系かな、と思うのですが、密かに胸(ハート)を撃ち抜かれてしまうかわいい恋の話の可能性も。



『1-22 よろず怪異絵巻』


 「よろず」な「怪奇」でわくわくが止まりません。「絵巻」からオムニバス形式の作品になっていきそうだなと予想。楽しみにしています!



『1-23 軋む歯車 狂う世界』


 私は単純なのでスチームパンクな世界を想像してしまいます。でも「歯車」は世界を動かしている何かの比喩ですね。どのように狂ってしまうのか、あらすじで少しでも見れると嬉しいです。



『1-24 ハーレム嫌いの早乙女くん』


 ハーレムフラグしか立っていないタイトルですね。そのフラグを早乙女くんがへし折りに走り回る予感がプンプンしています。もしくはあちこちでハーレムが生まれてしまう世界で、早乙女くんがただ一人ハーレム撲滅に奮闘するとか。想像を膨らませ、期待感を高めてくれるタイトルだと思いました。



『1-25 町で噂のマモノビト! ~おとーさんは人形姫~』


 これは気になる要素よくばりセットなタイトルですね。もしかして「マモノビト」と噂になっているのは「人形姫」な「おとーさん」? 大人しくあらすじを待ちましょう。



 以上、第一会場のタイトル感想です。

 勝手な妄想ばかりですが、どうぞご容赦くださいませ。

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第十六回書き出し祭り タイトル感想 青戸部ラン @ran_aotb

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