第5話 仏壇カラーのRZ250を押し始める

名前も知らないがガンマの彼女に期待されてる

と勝手に思い込んで、かなり早い時間から峠に向かう


朝焼けの中、クソ五月蝿い2ストの音を響かせて走り込んで

前世の記憶を取り戻して行く

鈴鹿も袋井も走り込んだ


4本目辺りから他のバイクも出てくるが落ち着いてかわしていく

5本目からはガンマの彼女も後ろに着く

6本を走り 麓の自販機の前で休憩してると 皆が集まってくる


「仏壇 えらく速くなってるが」と訊かれ

「修行の成果だ」と適当にカマスと

「乗り方も進化してるけど 立ち上がりのパワーが全然違う」とガンマの彼女


「噂 小さな巨人のオヤジ発のRZ250のポン付けの噂 アレをやった」と俺


一人だけ知っていたRZ250乗り


「RZ350のエンジンを移植したのか」となる


「そっちじゃない たまたま譲り受けてた TZ350の方だ

 クラスが無くなって、予備部品がその筋から流れてきた

 ピストンリングは一本だし、オイルの量も理解らない

 寿命は短いだろうけど ガンマの彼女に負けっぱなしではな」


「エンジンごと」とガンマの彼女


「シリンダ・ピストン・ヘッドの三点セット

 キャブは250のままだから、本気のパワーはでないけどな


 チャンバーは趣味の自作チャンバーの奴が作ってくれた

 サイレンサーがショボくて爆音だよ」


「それ組み換えとかキャブセットってどこで」とRZの小僧


「自分でやったよ こんなの普通のショップじゃ迷惑がかかる」


「すげぇ 魔法使いだ」と褒められる


そりゃそうだ、猫を助ける前は パラレル パラレル後方排気 V型 と

三代のTZを弄り倒してきたんだしね


「じゃぁ ウサギとカメ 最初は私がウサギで」とガンマの彼女


「いきますか 期待されちゃった」と押し掛けをする俺


「行くわよ」と言ってメットを被る彼女


後追いで付いていくと、基本に忠実な彼女の走りがよく見える

往復して麓の自販機の前


「そんな余裕で付いてこられると」と彼女


「ハングオンで綺麗な荷重 体重も軽そうだしパワーウエイトレシをも軽い

 速いわけだ」


「お尻も綺麗でしょ」と自慢されて


「綺麗です」としか返せない、いくつなっても小僧の俺


二本目 ウサギとなり登っていく

よしここで離すと思った時、上まで廻し過ぎで焼き付いた

なんとかリヤロックを抑え込めてる間にクラッチを切れて、ヘロヘロと減速していく


ガンマの彼女はだいぶ離していたので

コーナー入り口での減速のママ俺の後ろに着く

Uターンをして 麓の自販機までは下り エンジンはなくても下りていくだけでいい


「はぁ、やっぱり8000までだったかぁ」と俺


「どこまだで廻した」と訊かれ


「ガンマの彼女を離したくてな9500まで そこで焼き付いた」と答える


「どうするんだ」と峠小僧のみな


「そんなん押して帰って、エンジンばらして確認だよ

 腰下が生きてれば、250に戻して また来るよ」


ガンマの彼女が、皆から小銭を巻き上げて


「はい、押して帰るなら途中でジュースでも飲みなさい

 また待ってるわよ」と小銭を沢山渡しくてれて帰っていく


「小銭より名前と電話番号が良かった」と溢す俺


「そういう関係じゃないだろ」と爆笑され


「気をつけて帰れよ」と散開していく峠小僧達


俺は、家に向かって仏壇カラーのRZ250を押し始める           


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後書き


異世界感が

「綺麗でロングヘアの彼女がガンマ(RG)で峠を走る」

しかないのですが


異世界としておかないと

TZ350の腰上をRZ250に移植して公道を走るとか

国道での押し掛けスタートとか ゼロヨンとか

趣味の自作チャンバーの奴が居るとか

峠で競るとか


色々問題がありましてね

異世界としております


異世界に転移していない作者も仏壇カラー海苔で

TZ350の腰上3点セットを持っていました

持っていたから、組むとどうなっていたかと想像して書きました


なのでリアルに組んだと考えると1話になりました

別案件で16km押して帰った時は辛かった


チャンバーがなく 自作チャンバー氏が止めとけと

キャブがないし 耐久性に不安しか無い


なにより、勝ちたくなるガンマの彼女は現実には居なかった

これが、組まなかった一番の理由です        終わり

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仏壇カラーのRZ250 栗原慎一 @kurihara_shinichi

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